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皆さん、こんにちは。初めての方、はじめまして。 発行人の太田です。
さて5/10、 当ニューズレター「No.42」を配信しましたが、 その後、同号を増訂しているうち、 1号で収まらない分量になりましたので、6/17、同号を3分割。 本号は、その2回目です。 前号では、 次を論じましたので・・・
その延長で本号では、Instructional Design(ID)にも「良い ID と、悪い ID」がある
ことを論じます。
Instructional Design (ID) における昨今の重要トピックは何か?
Learning Objects(LO 学習部品)でしょう。
ASTD 今大会でも
この道 30年の超ベテラン、ホートン氏が
LO 指向の ID を講じます。 *
では LO の概略を一瞥しましょう(What、Why、普及度)。
オブジェクト指向がこの分野にもやってきました。
今後は教材の作り方が、大きく変わりそうです。
では、上記の "Learning by Building" は、なぜ有益か?
第1に「学習がはかどる」。おそらく
「部品 A は、同 B より良いか?」
「A と B は相補的か?」と考えることで、
そして"Learning by Building" の第2の利点は、部分どうしの関係や、
部分と全体の関係を考えることにより、「モデリング能力=構造定義能力」、
つまり下記を定義する能力が伸びることだと思います(注)。
(1) その構造を構成する「要素」
(2) それら要素群どうしの「関係」
(3) それら要素群や関係群の「優先順位」
そして、これら3点を速く正しく定義する、このモデリング能力を、
「モデル・リテラシー」と名付けましょう。
このリテラシーは、通常のリテラシー(読み書き能力)と同様、
いろんな下位能力を派生させるはずです。
一方、一般に検索結果を良くするには、
条件式で、複数の関連語を OR 結合するのが有効ですが、
それら「関連語」を
然るべき「諸関係」に沿って結合するには、上記の「構築」能力が
欠かせません。
たとえば「おい、山田君。例の話、
ビシッと1分で説明してくれんか」「あ、やっぱり10分で説明してくれ」式の
上司の要求にホイホイ対応できる人がいたとしましょう。彼は、上記(3)の「優先順位」に応じ、
(1)の「要素」の数を、増やしたり減らしたりしているんじゃないでしょうか?
たとえば彼が「日本経済の現況」を論ずるなら、
時間枠が1分のときは「消費、投資」の2変数だけで説明し、
時間枠が10分のときは「失業率、賃金、利子率、貯蓄、公共投資、純輸出、為替」も加え
9変数モデルで説明するでしょう。
ということで要するに、"Learning by Building" をやると
→ モデル・リテラシーが育ち(≒賢くなり)
→ 分析&構築力 + 理解力 + 選別力 + 検索力 + 伸縮力が育ち
→ ナレッジ・マネジメントも進む、と思うのです。
とくに検索力と伸縮力。この2つは重要ですね。
うち前者については弊「検索ガイド」をご覧いただくとして・・・
ここで強調したいのは伸縮力。上記の「山田君」みたいに、
自在にモデル・サイズを伸縮(あるいは変数の数を増減)できる人なら、
説明だって巧いはずですね。相手の顔色を見ながら「お、今日は4変数くらいにしとくか」
てな感じで、話の長さを、ピタッと合わす。
そんな能力と親切心があれば「あいつの話は分かりやすい」「よっしゃ、もっと聞いてやれ」
ということになるし、そんな能力と親切心が全社員にあれば、知識共有もはかどるはずです。すなわち
「知識共有の成否は、各人のモデル・リテラシーに(も)比例する」
知識共有が「大切である」と言ったって、それは無条件に成功するわけじゃないですよね。
ブレーン・ストーミングだって、効果を測定してみたら結果は「必ずしも肯定的ではない」とのこと(注)。
一般にナレッジ共有を成功させるには、経験上、次が必要です。
(1)
「問題(解決意欲)の共有、緊迫感の共有」が必要だし、
(2)
コミュニティ創設やリーダー任命は、会社が公的に行う必要があるし *、
(3)
複数リーダー制や *
(4)
直属上司による公式なメンバー選定や、評価制度や *、
(6)
討議のときには、概念図 Concept Map を共有・合成しておくといい。*
(7) また意見交換を有意義なものにするには、各人に理解力と伸縮力が必要で、
それには、モデル・リテラシーが必要で、
したがって"Learning by Building" 経験が有益と思います。
では、その学習スタイル"Learning by Building"の推奨者は誰か?
Constructivism 派の教育工学の研究者たちです(下記★印)。
(1)60〜80年代に流行した Behaviorism (行動主義)。
(2) その後に出てきた、Cognitivism(認知主義)。
(3)そして最もホットなのが、Constructivism(構成主義、構築主義)。★
要するに教育工学では、こんな変遷が起きている。その流れを頭に入れときましょう。
(1) Behaviorism → (2) Cognitivism → (3) Constructivism
このうち Behaviorism は、大人向けの学習、KM 的な学習に向きません。
人間の頭を「ブラック・ボックス」と思っているからです。彼らは、
そんな Behaviorism が向くのは「旧式の軍隊」です。
「構え! 撃て!」などの定型命令にぴっぴと反応できる兵士を育てるのに向きます。
現に、この手の「定型兵士」がベトナム戦争に大量投入された時期は、
同学派の最盛期でした。
しかし戦争やビジネスがナレッジ集約化し、そんな定型兵士では勝てなくなるにつれ、
Behaviorism は、3分野で凋落しつつあります。
(注2) その全体的な傾向は、
次のキーワード群でグーグル検索し、出てきた論説類を読むと分かります。
(注3)
ISPI (International Society of Performance Improvement) の掲示板。 *
では何故、こんなに凋落してしまった Behaviorism のことを、わざわざ私は
警戒しているのか? 彼らが eLearning という「新式の外観」で、
軍隊向け定型教育という「古い本質」を隠し、
人々を騙そうとしているからです。
KBS 國領二郎先生が本号 5/10 版を一読されて曰く[kokuryofriends.697]
「1) Behaviorism → 2) Cognitivism → 3) Constructivism
これが今問題になるのは WEB という技術を使ってやろうとすると安直に1)が
やりやすくて、3)を演出するのが難しいから、おかしなものが普及する
ということかしら?
実は最初「今さら Behaviorism バッシングしなくても」と思ったのですが、
確かに現実の WBT 類を見ると、behaviorism 指向になってる気がします」
Behaviorism 陣営も人間ですし、もともと馬鹿じゃないんですから、退潮期には延命策を打つ。
それは当初、産業界や国外への転進という形態をとりました。
米国では、当学派の重鎮 A 先生が B 社を拠点に、C 法 なる
Behavioristic な ID を、盛んに産業界に啓蒙してますし、
日本では、その C 法を、某日本人 D 氏が「30年の実績」「米国のスタンダード」と称し、
熱心に広めてます。
まぁ、話がここまでなら我々も笑ってればいいんですが、
しかし彼らの延命策が「eLearningへの進出」という形態をとるならば、話は別です。
今の eLearning 技術は、素人には先進的に見えて、その実、まだ未熟。
だから Constructivism 流の「インタラクティブかつ多シナリオ・多分岐なQ&A」に満ちた
教材より、Behaviorism 流の「ストリーミング&コントロール」方式の教材のほうが、
作りやすいんです。これは
当方式は「外観」だけはセクシーなので、素朴な人たちが
コロリと騙される。悪質ですね。許すべきではありません。
だから当方式は、昨年の ASTD 大会でも
教育上「有害」として十字砲火を浴びました。 曰く「Streaming はいかん。Asking が大事」と。
一方、Constructivism。今の主流です。[2]で前出の
中原淳先生はこれを「Emerging Paradigm」と呼んでおられますが、
"Educational Technology" など一部ジャーナルでは「台頭中 Emerging」段階を過ぎて
「制圧中 Dominating」段階です([6])。
それもそのはず、[2]以下で既述のように、
彼らの推す学習スタイル "Learning by Building" には、次のような効果が
あるからです。
「覚えやすい」「楽しい」
「賢くなる=モデリング能力がつく」(分析&構築力、理解力、伸縮力)
彼らの特徴は、
彼らの Tips は膨大です。一部、記しておきましょう(注2)。
(1) 教材開発時
(2) 授業中
(3) 授業後
では、これらの技法群をどう評価すべきか。私の所見は次の通り。私は、
いかがでしょう? Constructivism は、KM に役立ちますね。
私も1998年、AMS 時代の彼女のナレッジ・コミュニティ講演を聞きました。
他を圧して実践的と思いましたね。だから各所で紹介してきました。
ID + (LO ← Constructivism)
ASTD の今大会のもたらす知見「ID + LO」に期待しましょう。もちろ
ん、その前後の文脈(Constructivism や KM)に止目しながら、です。
一方、では Constructivism とは万能なのか? また、Behaviorism は、
常にダメなのか? 次号でもう少し詳しくみてみましょう。
ということで「日本の KM/CRM」にとって、ASTD の今大会は必須と
私は思います。だから当然、私自身、それに参加します。
しかし単に「参加する」にとどまらず「解説委員」もやります。
というのも今大会の模様は、
米 Newsicast 社 *により後日、
インターネットTVで報道される予定なのですが、
その番組で私は「解説委員」かつ「監修者」として登場予定。
その監修の「目的と方針」は目下、次の通り。
ふと気づけば私は昨秋より、大前研一氏率いる衛星TV局
「ビジネス・ブレークスルー」で
60分単独講義の映像デビュー *を、数回にわたって
果たしていますが、今回は、インターネットTV局で初デビュー。
さいわい今回も、プロのカメラマンのお世話になることになりました。
有り難いことです。私も根性入れて準備します!
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