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6月20日に前号を出して以来、すっかりご無沙汰してしまいましたが、 皆さま、いかがお過ごしでしょうか?  

私は、この間、約40日間で17コマも、KMやCRMの講義・講演を行 い(一部は[後記1]参照)、そして昨日からは5日間の韓国ツアー。

にアレンジいただき、大手の百貨店、メーカー系カード会社、食品メー カー、通信会社など5件で、CRMにつてい深い討論をしてきます。

 その合間を縫って、やや急ぎ足で、本号をお送りします。


[0] 背景6: コーポレート・ポータルが更にメジャーに

 テーマは、前号に続き「Corporate Portal」。企業版ヤフーです。

 このテーマが米国のKMやCRMの世界で、たいへん盛り上がっている 理由については、一部、前号で触れましたが。。。

3点、追記します。

 いずれも、Corporate Portalが米国ではメジャー化したことを示して いますね。日本でも早晩、同様となり、多くの論者たちが各所で、本件 につき、自説を皆さまに提供することになるでしょう。


[1]  事例1: ロータスの「マーケティング部門ポータル」

  Corporate Portalは、その名の通り「Corporateレベル=全社レベル」 のポータルですが、目下、世の事例で多いのは、「部門レベル」の「 Portal Mart」です。

 やっぱり「全社レベルで情報&情報構造の共有」という思想は良いと しても、企業規模が大きくなると、自然、次のようになりますね。

「うーん、やっぱ、うちの4万人の社員『全員』のニーズが、たった  『1個』の全社ポータルでカバーできるとは思えないねー。まずは、手堅く『部門ポータル』から始めますかねー」

 ということで早速、ロータス社の「マーケティング部門ポータル」を見てみましょう。そのメニュー体系は次の通りです(C.Crummey,2000,' Lotus Internal Portals',"Lotusphere 2000 Proceedings")

 ・Personal

   ・E- mail, Calendar & Schedule - (People & Resources)
   ・Workflow など

 ・Workgroup

   ・Project team documents
   ・Workgroup libraries & discussions
   ・Sales tracking など

 ・Enterprise

   ・Human Resources, Vacation / Travel
   ・Enterprise Directory など

 ・Extranet

   ・Supplier Information
   ・Shared BP applications  など

 ・Internet

   ・Customer Web sites
   ・Stock & Weather
   ・Subscription news services など


[2] 演習1: その背後には、どんな世界観が見えますか?

 では皆さん、質問です。

 このメニューの背後にはどんな「世界観」があるのでしょうか?

 おそらく、次のような「同心円状の世界観」だと思います。

     自分→自グループ→自社→自陣営→顧客など社外

 では、これって、どうなんでしょうね?

 ぜひ周囲の方々と、議論し てみてください。いろんな賛成論、反対論が出てくるはずです。

    「うーん、顧客がいちばん『外側』なのは、マズくないの?」

    「いやいやポータルというのは、一種のトップメニューだから、その一角に入っていれば、いいんだよ」

    「そうかな? 同一画面とはいえ、ふつう人は上から下にメニューを みていくものでしょう? やっぱり、この優先順位は変だよ」

    「しかし自分→自グループ→自社→自陣営→顧客など社外、という 順番は、口コミの波及経路と同じだから、けっこう良いのでは?」

    「しかし、ロータスのような大企業が、普通、口コミに頼るかな? プレス関連のメニュー(news service)が最後なのも気になるし」

 お分かりのように解は決して「一意」には定まりません。何故かといえば「世界観」の善し悪しを論じているからです。こんな設問に「一様」な答 など、普通、ありませんよね。

 しかし実例を目にして、それが良い理由、悪い理由を討論しているう ち、どんなメニュー、どんな世界観が自社に望ましいのか、だんだん見 えてきませんか?


[3] 事例2: マグローヒル社の「セールス部門ポータル」

 次にマグローヒル社の「セールス部門ポータル」 (Soderstrom,1999 ' Using Portals to Increase Sales Force Effectiveness', ”Corporate Portal Conference 1999")。

 同社は雑誌社ですから、世の企業に広告スペースを売る、 法人営業を 行っています。その営業マンたちが見ているポータル・メニューは 次 の通り。

    (1) Maps and Territories

    (2) Personnel Changes(これは顧客社内の人事異動)

    (3) Trade Show Leads(Leads というのは「引合」という意味です)

    (4) Competitive Info

    (5) Product Promotions;Announcements

    (6) Press Releases (Text and/or Sound)

    (7) Speeches (同社トップが社外で行った講演の講演録)

    (8) Sales Presentations

    (9) Pricing Tools, Pricing Changes などなど



[4] 演習2: その背後には、どんな世界観が見えますか?

 どうですか?

 このメニューの背後にはどんな「世界観」が見えます か?

 おそらく次のような「3極構造」だと思います。

  • 顧客(1)(2)(3) vs 競合相手(4) vs 自社(5)以降

     (これを一般に「戦略の3C」と言いますね)

 では、これって、どうなんでしょう? これも周囲の方々と、議論し てみてください。いろんなご感想が出ると思います。たとえば、

    「うーん、戦略の3Cって、古いくない? チャネルも入ってないし」

    「そうだよね。広告スペースを売ってるんでしょう? 広告代理店や制作会社も入れとかないと」

    「いや、おそらく、この会社はチャネルを使わずに直販主体なんだよ。 だから、これで良いの」

    「それに、競合相手の動向(4)が入っているのはいいね。営業活動の参考になる」

    「そう言えば、その項目がロータスにはなかったけど、なぜ?」

    「ええと、場合によっては、要らないと思うんですけど」

 どうですか? たった二つの実例を見ただけで、重要な論点が、 どんどん見えてきますね。


[5] 結論 : 眼光紙背に徹しましょう。「見えないもの」が大事

 冒頭で述べましたように、今後は日本でも「部門ポータル」の話を、 多くの論者たちが各所で、皆さまに提供することになるでしょう。

 ただ、そこで皆さんに注力いただきたいのは、「その背後にある 世界観について仲間と討議すること」です。

 他社事例の「目に見えるメニュー」は、確かに参考になります。

 ただ重要なのは、そのメニューの「紙背」にある「構造」を見抜くこ とです。 そして、その構造レベルで、自社との適合性を評価し、ひいて は自社に向いた構造 を案出することです。

 だから必要なのは、ここでも真の「抽象化能力」。 あるいは「構造発見能力」「構造抽出能力」です。 これがあるから具体論も生きてきます。

 大事なのは「知ること」より「考えること」。

 それを刺激するためにも「同一の論材を前に多人数で討議する」演習は有益です。


[6] 演習3: 事例を元に、自社のポータルを考案してみましょう

 ということで皆さん、せっかくですので、ここで演習です。

      (当レターの読者の皆さんは、お盆休みも、ご旅行先やご自宅でインターネットをお使いの方々が多いと思われますので、気分転換 にどうぞ)

  • 演習: 上記のロータス社、マグローヒル社の事例と、それに続く考「2][4][5]をもとに、自社の
    • マーケティング部門ポータル
    • セールス部門ポータル

    を案出してみてください。この際、両者が6割くらい重複していても、それは「良いことだ」と考えましょう

 ただし当演習、どうせやるなら「一人」でやらず、周囲の人たちと一緒にや ってみてください。自分にはない発想が人から聞けて楽しいですし、自分の意に反する意見が出れば、それに対する反論を考えているうち、いっそう自説にも根拠が付着し、考えが深まるでしょう。

 もちろん、この討論には、自部門だけでなく他部門も入れた方が、い っそう「CRMの本義」に沿います。社内MLなどあれば、それを使っ てみるのも一法でしょう。効率的だし、後で読み返すこともできます。

 コーポレート・ポータルは今年後半の情シス検討の「目玉」となるは ずですから、 皆さんも、良いスタートを切ってください。

(ということで以上、本論は終わり、以下、近況ですが。。。)



[後記1] 7月は4回の公開マス・セミナーに出講しました。感謝

 おかげさまで昨今は、私が呼号してきた「CRM」もすっかり各所で 「認知」され、 私自身も7月は4回、CRMのマス・セミナーに出講さ せていただきました (主催者の皆さま、ご来場の皆さま、有り難うござ いました)。

 それらへの応募は、たいへん活発であり、私「一人」しかも「今月」だけで、 約1,700名の方々に、CRM講演を させていただいたことになります。

 もちろん世のCRM専門家の皆さまも各所で講演しておられますから、 これで日本もやっと「CRM元年」かな?と感じました。


[後記2]  クラス増設! 演習付き「KM&CRM1日集中コース」

 しかし、これらの「マス」セミナー「だけ」では、日本のCRMも「 元」年たるに とどまり「認知から実行へ」の移行が始まりません。60分 や90分の講演ですと、 得られるのは「概要」や「動機付け」にとどまり「実践ノウハウ」には至りません。

 そこで私が昨月から始めたのが、

という研修プログラム。これで1日間、ドップリと、

当コースは「演習」付きですから、少人数制。各クラス定員12名に限 定し、7月は、次のクラスを行いました。

  • 第1回: 7/07(金) 9:30-17:30
  • 第2回: 7/14(金) 9:30-17:30
  • 第3回: 7/24(月) 9:30-17:30
  • 第4回: 7/31(月) 9:30-17:30

いずれも、

  • 発表後、1日〜8日で「満席」となる事前人気であり、
  • 事後も、5段階で「4.6」というご評価をいただくなど、

私自身が、その反響に驚いています。

 そこで今般、(やや直前のご案内になりましたが)、次のクラスを 追加しました。

  • 第6回: 8/21(月) 9:20-17:40
  • 第7回: 8/23(月) 9:20-17:40

 その募集要項は、次のページの通り。皆さまの積極的なご参加をお待 ちしています。



[後記3] 私とお会いになりたい方は、この種の機会を活用ください

 またこの場をお借りして、ついでに申しておきますが、 私はコンサルタントですから、「会話をしただけで有料」なんですね。 詳しくは、

   http://www.cio-cyber.com/pj/ec2/BACK/n032.html#K4

 私とお会いになりたい方は、是非、こういう場を、ご活用ください。 事前にメールを「sohta@ca2.so-net.ne.jp」までくだされば、講義終了後、 別途お時間をとります。


[後記4] 千葉すずさん VS 日本水連の問題に、決着が付きました

 本件につき8月3日、CAS(スポーツ仲裁裁判所)は結論を出しました。

 それに対して各紙は、次のように論じていますが。。。

私の所見は、次の2点に最も近く。。。

要は、次の2点から「水連は有罪」だったと思います。

    (1) 水連は「アンフェア」であった
    (2) 水連には「アカウンタビリティ」が欠けていた

 ただ細かい話になりますが法廷戦略上、(1)(2)の挙証責任を最初に「 水連にある」と戦えば、結果は明らかに千葉選手の勝ちでしたが、今回 は、戦う場所が「裁定」でしたので、その前哨戦を戦う時間はとれず、目に見える結果としては、

    (1)については論証が及ばず
    (2)については論証が認められた

にとどまりました。

 もし千葉選手に充分な時間とお金があったら、通常の裁判でゴリゴリやったことでしょうが、同選手は本業が別にあるし、性格的にも淑女だったのでしょう、結局、穏健にも「できる範囲で、できることをやる」という合理的な方針を とったんでしょうね。

 同選手がファナティックでなくて、さぞ水連も助かったことと思いま す。そのことは、水連の顧問弁護士を(たまたま運悪く?)引き受けて おられた、上柳先生が、いちばんよくお分かりでしょう。

 水連が(1)(2)の観点から少しは「先進国の常識」を理解できる団体となれるよう、法律家の名に恥じない、同先生の今後の指導力に期待しましょう。

 

『ECスクエア通信』フッター

[最後に] ご一読ありがとうございました。本号はいかがでしたでしょうか?

当ニューズレターは、 国内きっての専門家が KM/CRM を、次の「カテゴリ体系」で 論ずるもの。関心に合いそうなトピックを、 適当にクリックしてみてください。

トピックス一覧(テーマ別目次):MyPRG_Called_EC2_Topics.html
(0) 入門
全体図, 定義 ( ナレッジ", KM, CRM), サマリー( KM, CRM )
効果実測例 ( KM, CRM), なぜ有効か( KM, CRM
(1) 戦略
今後にご期待ください。それまでは こちらを(11/07 改訂!)
(2) 知識プロセス & テクノロジー (3) ピープル & テクノロジー (4) 業務プロセス & テクノロジー
Marketing ( 3 事例で学ぶ 33 の法則, CFAR/CPFR),
Sales & Logistics ( PRM, JIT 設計販売, WebEDI)
Service
(5) プロジェクト (N) 番外編: 重要イベント

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    Shuichi Ohta, 太田秀一 ************************************* /

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