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Nov.10, NEC サイトで論説発表         
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 皆さん、こんにちは、太田です。(初めての方、はじめまして)。発行人の太田 です。いかがお過ごしですか。

 さて、本日の日経朝刊の15面の「社告」欄では、CRMコンファレンスが 告知されていますが、お目に止まりましたでしょうか? 

 いよいよ日本でも「これからはCRM」ですね。私も本業の傍ら、 各誌にCRM論文を寄稿していますが、先日、たいへん光栄にも、

に、次の論考を寄稿させていただきました。

    「ナレッジ・マネジメントで変わるメジャメント体系
    - コールセンター分野の事例より - 」

 当拙稿は正直、私としても会心の出来ですし、かつ『同誌』の扱いも 私にしては破格で、「クローズアップ」という特別コーナーで、カラー印刷され 外見も申し分ありませんでしたので(編集者の皆さま有り難うございます)、 私も親バカよろしく(笑)、せっせと講演のたびに、抜き刷りを配ったりしてます。

 また個人的にも、元勤務先の元CFOのボス「TGさん」や某ビッグ5の 米西海岸ブランチに勤めるイトコ「GH君」にも「喜んでもらえるかな?」 と思える寄稿体験でした(広田元一君、読んでます? ご無沙汰です)

 そこで本日は、『同誌』のご了解のもと、上記拙稿を一部編集して、 皆さまにお届けしたいと思います。


[0] 結論: KMから成果を出すには「メジャメント」の拡張が必須

 ということで、さっそく本稿の結論を述べておきましょう。

    【結論】 ナレッジ・マネジメントの焦点は、ナレッジにより「成果」 をもたらすことにあるが、それにはメジャメント体系の拡張 が欠かせない。

 では以下、

  • 数あるKM分野のうちコールセンター分野に即し、かつ

  • ハーバード経営大学院の会計学教授、ボブ・カプランらが提唱する 「バランスド・スコアカード」の枠組みに沿って、そのメジャメント体系が どう変わり得るかを考察し、

  • それを支える人事施策・技術施策につき、概観してみましょう。

[1] KMの焦点は「成果」を出すこと

 近年、ナレッジ・マネジメント(KM)が注目されている理由は、「 ナレッジが尊いから」ではありませんね。2年前から述べておりますように、 「成果が数字で出てるから」です。

 では何故、こうした成果をKMが生んだのでしょうか。それは、ナレッジが ある種の成功法則だからだ、と思います。

 三段論法の枠組みで考えれば、ナレッジとは「大前提」のようなものだ、と 定義できます。たとえば、

  • 大前提: 「人間は必ず死ぬ」 (一般法則=ナレッジ)
  • 小前提: 「太田は人間である」(個別情報)
  • 結論:  「だから太田は必ず死ぬ」

 この小前提には「太田」という固有名詞が入っていますよね。こうして「いつ」 とか「誰」とか「何を」などが入っているのは、みな小前提=情報である、と 考えてください。

 一方で大前提の「人間は必ず死ぬ」というのは、その人間が太田であろうが山田であろうが、 必ず確率100%で成立する、一般性の高いものです。

 言い換えれば、こういうことです。

  • 成果を出すには行動が必要であり、

  • それには意思決定=結論が必要であり、

  • その結論を得るには、次の両方が必要であり、

    • 大前提=ナレッジ
    • 小前提=情報

  • 小前提だけたくさんあっても、良い結論が出てくるとは限らない

 さらに議論を広げると、ナレッジにも2種類ある、と思います。

  • 第1種のナレッジは、上記の「大前提」で、万人が認める一般法則です。 その一般性は100%。いつでもどこでも成立します。

  • 第2種のナレッジは「経験則」。つまり「小前提から大前提に昇格中」のもの。 その一般性は100%とまではいきませんが、ものによっては高水準です。

 とくに第2種のナレッジは重要で、世のKM成功事例では、ここで 差をつけた会社が多いようです。たとえば米ゼロックスのサービス部門。 ここでは、サービスマンたちが日々、次のような自慢話を、交わし いたそうです。

    「今日は、このユーザーで、この機械が特殊な壊れ方をしていた ので、僕は、こんな特殊な修理方法で直してみた。 この修理方法は、マニュアルにも載っていないんだけどね」

 こうした自慢話は、ボブなりトムなりが、ある日ある時に経験した 「1回限りの具体的な事象」ですから、一般性はゼロですね。 小前提=情報のレベルに、とどまっています。

 しかし、その自慢話を聞いた仲間たちが、その修理方法を真似し、 いろんなお客さんで成功体験を重ねていけば、時とともに、その修理方法 の「一般性」はだんだん増えていき「経験則」つまり上記の第2種の ナレッジとなります。

 こうした「経験則」をより多くの社員が実行すれば、より多くの故障が直り、 より多くのお客さんも喜んで、会社が出す「成果」も増えていきます。 だからこそ産業界で、KMが盛んになりました。


[2] KMから成果を出すメジャメント体系:バランス・スコアカード

 ではゼロックスの成功事例はそれで良いとして、他の一般企業がKM から「成果」を出すには、どんなメジャメント(≒評価項目)体系が 良いのでしょうか。答を先に申しますと、次の通りです。

  • ハーバードのカプラン教授らのバランスド・スコアカード手法

 同先生が同手法を公表したのは、92年の "Harvard Business Review"であり、 これは私も95年、 前著『企業を変えるグループウエア』日経BPの第2部で、 しっかり活用させていただきました。

 それから4年、この手法を同先生は、各国の産業界と学会へ、 かなり上手に広めてこられたようです。

 もちろん、この普及の動きは、管理会計の世界に留まっていません。 最先端の IT 経営手法の世界にも、広がってきました。

  • 本年4月、シカゴで行われたSCMコンファレンスでは、 約半数の講演者が同手法を「使え、使え」と言っていました。

  • そして実は、[3][4]で後述の通り、CRM分野でも、 同じことが既に起きています。

 ではバランスド・スコアカードとは、どんな手法か。特徴を2点だけ ご紹介しておきましょう。

  • 第1に、重要管理項目を、次の4群に分ける
    • 結果変数たる(1)財務変数群、
    • 政策変数たる(2)顧客変数群、(3)自社プロセス変数群、 (4)イノベーション&学習変数群

  • 第2に「政策変数(2)(3)(4)→結果変数(1)」式の因果フローを、 各所で明示する

 うち(4)がKM用の項目であり、それが(2)(3)経由、(1)を動かせば、 KMから「成果」が出る、というわけです。

 もちろんバランスド・スコアカードは、万能では、ありません。 たとえば 2年前、私は、KBSの伏見先生の図式も参考にしながら、 世の企業がマネージすべき変数を、次の3群に分け、うち政策変数 を制御することが経営管理の中心テーマだ、と述べましたが、 その3群と上記4群との対応は、次の通りで、明らかに「環境変数」 群への注意が、バランスド・スコアカードからは、抜け落ちています。

  • 結果変数(制御不能な従属変数)・・・(1)

  • 環境変数(制御不能な独立変数)

  • 政策変数(制御可能な独立変数)・・・(2)(3)(4)

 多くの経営理論の常として、この手の限界を限界としてキチンと 分かってないと、バランスド・スコアカードも「怪我の元」になりますが、 逆に、この手の限界がチキンと分かる人にとっては、バランスド・スコアカードは 「かなり便利な部分解」だと思います。


[3] KMによる「政策変数」の拡張: (3)群 → (3)群+(4)群

 では世のKM実施企業では、(2)(3)(4)の世界で、どんな変数群を 使っているのでしょうか。それを本稿では「これからはCRM」 ということで、コールセンター分野に絞って論じました。

 当分野では、せっぱ詰まった顧客から「待ったなし」の苦情や質問が 来ますから、現場の皆さまには、大きな負荷がかかります。勢い、彼ら の処遇には、細心の注意が求められ、こと評価制度では、多くの工夫が 行われてきました。

 その究極の大項目は「顧客満足度」でしょうが、その下につく中項目 や小項目としては、長年、次のものが定番でした。その多くは(3)でした。

  • 受信件数

  • レップや回線のビジー率

  • 待ち行列の長さ、顧客待ち時間

  • 待たせてる間に電話を切った率 (Call Abandon rate)

  • 初回の電話で問題解決できた率 (First Call Resolution Rate)

 そして、これらの測定値・測定項目の使い方も、長年、各社が磨いて きました。たとえば

  • ケミカル・バンクでは、これらが定期集計され、かつ所定の 許容水準を測定値が超えると、警告チャイムがセンター全体に流れます。

  • また電話関連機器によっては、シミュレーション機能があり、 要員数や回線数をへらすと、待ち時間が何割ふえるかを予見できます。

 ところが97年、一部の専門家たちは、広範な実証研究をもとに、 こうした「定番管理項目」を、次のように批判しはじめたのです。

     「それは(古代ローマの)ガレー船経営モデルである。古い」

     「70件のケースを分析したが、このモデルでは効果が得られてない」

 ここでコールセンター分野でも、多くの企業がKMを始め、当分野で のメジャメント革命が決定的となりました。KM派のコールセンター 専門家の一人、アイビー・メドウズ氏は、次の管理項目を勧めています。

  • 投稿されたナレッジの数

  • 使用されたナレッジの数

  • ナレッジ・ベースを使って回答された質問数

  • KMプロジェクトの実施回数

 要するに、バランス・スコアカードの枠組みで申しますと、

  • KM前: (3)群の自社プロセス変数群、

  • KM後: (4)群のイノベーション&学習変数群
が主たる管理項目なわけですが、おそらく現実的には、KM革命で、 管理項目が「新旧交代した」というよりは、管理項目が(3)だけから (3)+(4)に「拡張された」と考えるべきでしょう。


[4] KM後のメジャメント体系を支える人事政策と技術政策

 では、こうしたメジャメント体系の拡張を実現するために、 必要となる経営施策として、われわれは何を経営陣に提言すべきなのでしょうか。

 第一に、人事政策。上記のように「投稿されたナレッジの数」を管理 項目に入れる以上、メドウズ氏によれば、次のような役職の導入が必要 となります。

  • 最初にナレッジ・ベースを作る、Knowledge Engineer

  • そこに大量のナレッジを供する、Knowledge Holder

  • ナレッジを使ったり日々、投稿する、Knowledge User/Contributor

  • 彼らを動機づけたり、投稿を直す、Knowledge Manager/Editor

 第二に、技術政策。とくにジャストシステム社「ConceptBase」など の類似検索ソフトは、グループウエアとならび、KMの本命技術となり ました。類似検索を使えば、次のような「思考プロセス」が可能となる からです。

  • Knowledge User が問題解決に必要なナレッジを検索するとき、 検索条件が、問題の本質に「ピッタリ一致」してなくても、 「そこそこ近い」だけでも、最初は大丈夫。

  • 彼らがどんなナレッジを投稿しているのか、Knowledge Manager ら が調べるときも、「お、コレは良い投稿だな」と感じたら、その投 稿文をそのまま検索窓に入れるだけで「それと似た他の投稿」を「 似ている順」に画面へ出せるので、「もっと良い投稿」を発見できる ことも多い。

 
[後記1] (10/25) 「ナレッジ・マネジメント実践リンク集」を改訂

 ということで、本論は以上で終わり、以下、恒例の「近況」です。

 今回は「コールセンター分野」で「KM革命」を起こすには、メジャ
メント体系を、どう「拡張」すべきか、ということを述べてみましたが、
いかがでしたでしょうか。

 すでに一部の方はお気づきかと思いますが、本稿は、次の弊リンク集
に、かなり依拠しています。

  [3.3] 顧客サポート(KM/CS)
  
 そこで今回は、本稿執筆を機に、この部分のメンテを行いました。

  ・「リンク切れ」をできるだけ修復し、かつ

  ・修復不能だったリンクには、行頭に×印を付けました。

 米国では、次のような報告もあります。当分野にご興味のある方は、
上記弊リンク集を、是非ご覧下さい。とくに当分野の専門家の皆さまは、
必須だと思います。

 ・一部の業界で98年、総情報化予算の2割が当分野に投入
  


[後記2] (11/30)日経CRMコンファレンスに出講します

 本号冒頭でも申しましたように、来る11/30、日経が初めて、CRM
コンファレンスを主催します。その概要は、次の通り。

  http://www.nikkei.co.jp/events/crm/

 その骨子は、次の2本ですが、私も(1)で出講します。ご興味のおあ
りの方は、ぜひ上記ページをご覧下さい。

 (1) 全体講演: 学会+コンサル業界+マーケティング業界から、
         KBS國領先生+私+AC三谷さん+DWCJ松尾
         さんが出講します。これで「骨子」を示します。

 (2) 個別講演: 最先端の技術&事例の話が、個別にあります。
 


[後記3] (10/21) ジャストシステムKMセミナーに出講。盛況でした

 10/21,22のジャストシステム主催KMフォーラムは大盛況で、IBM
の北城社長の基調講演には、定員の「15倍」くらいの申込みが来たそ
うです。すごいですね。

 私が出講したセッションも、北城さんの直後だったおかげで、告知後
3日目で、満員になってしまいました。御来場の皆さま、主催者の皆さ
ま、どうも有り難うございました。


[後記4] (11/10) 帝人システムさん等のセミナーでKMを講じます

 半面、せっかく私のセッションにお申し込みいただきながら、定員オ
ーバーでご参加できなかった皆さま、お会いできなくて残念です。

 今回の講演内容をさらに拡張して、以下の通り(Partial List)、各所に
出講しておりますので、そこでお目にかかれれば幸いです。

 ・旭化成さんの社内セミナー      (10/20)、
 ・トッパン・フォームズさんのユーザー会(10/26,11/4)
 ・東芝さんの社内セミナー       (10/28)
 ・帝人システムさんのユーザー会     (11/10)
  http://www.tjnsys.co.jp/tstfair/kanto.htm
 ・NECさんの社内セミナー      (11/25)
 ・日本人工知能学会さんで基調講演   (12/17)
 


[後記5] (10/25) 『ECスクエア通信』読者が「7千人」に

 ふと気がつきますと、弊誌も読者数「7千」の大台に乗りました。古
くからの読者の皆さま、新規にお申し込みの皆さま、どうも有り難うご
ざいます。これからも頑張ります。
 

『ECスクエア通信』フッター

[最後に] ご一読ありがとうございました。本号はいかがでしたでしょうか?

当ニューズレターは、 国内きっての専門家が KM/CRM を、次の「カテゴリ体系」で 論ずるもの。関心に合いそうなトピックを、 適当にクリックしてみてください。

トピックス一覧(テーマ別目次):MyPRG_Called_EC2_Topics.html
(0) 入門
全体図, 定義 ( ナレッジ", KM, CRM), サマリー( KM, CRM )
効果実測例 ( KM, CRM), なぜ有効か( KM, CRM
(1) 戦略
今後にご期待ください。それまでは こちらを(11/07 改訂!)
(2) 知識プロセス & テクノロジー (3) ピープル & テクノロジー (4) 業務プロセス & テクノロジー
Marketing ( 3 事例で学ぶ 33 の法則, CFAR/CPFR),
Sales & Logistics ( PRM, JIT 設計販売, WebEDI)
Service
(5) プロジェクト (N) 番外編: 重要イベント

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