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皆さん、こんにちは。初めての方、はじめまして。

 発行人の太田です。約4ヶ月間のごぶさたでしたが、皆さま、いかが お過ごしでしたでしょうか?

 中には「読者登録したのに、送ってこないなぁ」とお感じの方、また 今日時点では、読者登録したことすらお忘れで「なぜこんなメールが 届くんだ!」とお感じの方も、おられることと思います。申し訳ありま せん。

 今後は、発行の遅れをドンドン挽回していきますので、どうかご愛顧 くださいね。


[1]日本でもKMが盛り上がる「2つの理由」

 というわけで本当に久々の発行となりましたが、皆さま、この間の、 ナレッジ・マネジメント(KM)の盛り上がり、お気づきですか?

 いよいよ日本でも、ナレッジ・マネジメント盛り上がってきましたね。 当然です。一昨年から申しておりますが、

 日本だろうが欧米だろうが、平素、利益責任を負った経営者たるもの、 「数字と方法論」の2つが揃えば、増益のため実行に走るのは、万国共 通。走らない人は、はっきり言いますが、怠けているのと同じこと。


[2] その「各論版KM」の最右翼が「CRM」

 ただし昨年後半、米国の産業界の関心は、急速に「総論のKMから、 各論のKMへ」と移ってきました。

 当然ですね。成果を生むのは「総論ではなく各論」ですし、それに「 マーケ用KM」と「エンジニアリング用KM」では、まったく目的も手 法も違うからです。

 そして数ある「KM各論」の中で、いちばんホットなのが「顧客サポ ート」の分野です。。。と4ヶ月前の前号で申しあげましたが、その後、 この方向は、もう一段階、進みました。

 それが「CRM:Customer Relationship Management」。すでに多く の皆さまがお気づきのように、これがいま、たいへんホットになってき ました。

 その目的は、CRM専門のコンファレンスを主催している、米 DCI  社によれば、次の通りです。

     "The goal of CRM is to seamlessly integrate every area of  your business that affects your customers: sales, marketing and customer service."  http://www.dci.com/crm/

 いいかえれば「マーケ⇔セールス⇔サービス」の情報共有を進め、お 客さんの「業者探し→購入検討→問題解決」を効率化してさしあげまし ょう、ということですね。

 そして少し整理すると、CRMとは、次の2レイヤーの「中間」だ、 と位置づけできます。

  • やや広すぎる上位概念の「ナレッジ・マネジメント」

  • やや狭すぎる下位概念の「マーケ支援、販売支援、顧客支援」


[3] CRMが必要な理由: これがないと、お客さんが迷惑

 では、ここに来て、なぜCRMが「ホット」になったのか。逆に言う と、なぜ「マーケ⇔セールス⇔サービス」の情報共有が必要なのか。

 これがないと、お客さんが迷惑するからです。

 例1) マーケ&広報部門 ⇔ セールス部門

  • とある大手コンピュータ企業A社は、業界リーダーなので、 いろいろな「観測」記事が新聞をにぎわす。

  • そこで顧客企業の情報システム部長が、A社の担当営業に「 これはどういう意味なの?」と電話をかけてくる

  • そこで担当営業氏、あわてて広報に電話するが、こんなとき 限っ  て「話し中」であり、お客さんを待たせてしまう。

  • もちろん広報氏は広報氏で、全国の営業から殺到する問い 合わせで、大忙しであり、ものを考えるゆとりもない。

    勢い「ノー・コメントです!」となり、会社としての カウンター・クレームが出せない。

    その結果、知的ヘゲモニーを新聞から自社に奪回する一大 チャンスを失う

      (ここで「ああ、あの記事はココが正しく、ココが間違いで、 所詮は、素人さんが書いてるだけなんです」とでも 言っておけば、その後、お客さんも新聞の論調をウノミには しなくなっていたはずなのに)

    かくして当例では、次のような構造が、会社の中に、しっかと根付いて いるわけです。

    • 「お客さんを待たせてしまう構造」

    • 「ナレッジ・ワーカーらに何度も何度も同じことを言わせる 構造」

    • 「自社より業界誌をお客さんが信頼するのを許してしまう構造」

例2) セールス部門 ⇔ サービス部門

   (F.Cespedes"Concurrent Marketing",HBS Press を参照)

  • とある大手電話回線企業B社の営業マンは、某製造大手のC社に、 電話交換機のアップグレードを、懸命に売り込んでいた。

  • ところがB社のサービスマンは「私が懸命にメンテしてますから、 まだ当分、この機種のままで大丈夫です」とC社の担当に説明して いた。彼は、同じ会社のセールス部隊が何をやっているか、知らな かったのである。

  • つまりセールスもサービスも、二人とも「懸命」でありながら、 走っている方向は、逆だった。1+1が、2や3にならず、 マイナス1や、マイナス2になっていた。

  • その結果、お客さんからは、次のように思われ、不信感を持たれて しまった。

      「この会社は営業マンは営業マンの都合、サービスマンは サービスマンの都合でものを言っているんだな。

    これが多くの企業で、いつまでたっても利益があがらない、大き な理由である。

    かくして当例では、次のような構造が、会社の中に、しっかと根付いて いるわけです。

    • 「お客さんから誠意を疑われてしまう構造」

    • 「人件費をかけてもかけても、その分、どんどんお客さんからの 不信感が増幅してしまう構造」

例3) 自社サービス部門 ⇔ OEM元企業サービス部門

   (『IM Press』99年2月号の編集後記を参照)

  • とある雑誌編集長の自宅の風呂釜が壊れた。同氏は怒って、 ガス会社D社に電話した。

  • するとD社のサービスマンが、次の日曜日にやってきて、 途中まで修理をして、帰っていった。

  • ところが、そのまた次の日曜日には、まったく聞いたことも 見たこともない、ガス器具メーカーE社のサービスマンが、 何故かやってきた。

  • 話を聞くと、E社は、その風呂釜をD社に OEM供給していたのであった。

  • こうして、何度も貴重な日曜日をつぶされた編集長氏は、 この話を、自分の雑誌の編集後記に書いた。

    かくして当例では、次のような構造が、会社の中に、しっかと根付いて いるわけです。

    • 「怒っているお客さんを、さらに怒らせてしまう構造」

    • 「宣伝費をかけてもかけても、ちっとも世評があがらず、 どんどんが悪評が世に広まる構造」

 いかがでしょうか。いずれもハタから見ますと「笑える話」ですが、 お客さんは怒ってます。これでは、売れるものも、売れなくなってしま うどころか、どんどん周囲に悪評が広がっていますね。

 こうしてCRMが、必要となりました。


[4] CRM原点: コンカレント・マーケティング

  そして昨今、世のSFAベンダーや、コールセンターソフト・ベンダ ーは、互いに相手を買収しあい、分野別に分かれたソフトの統合に進ん でいます。この方向が進むにつれ、CRMを「技術的に可能とする条件」 は、急速に揃うことでしょう。

 しかし、これらの「技術的に可能とする条件」が立ち上がったのは最 近ですが、CRMを「経営的に必要とする条件」は、昔からありました。

 たとえば上記の「例2)」の話。これは4年も前から、元ハーバード・ ビジネススクールのフランク・チェスピーデス教授が、次の本で、指摘 していた事例です。私も過去3年、何度も講演で使わせてもらいました。

   いい題名ですね。「コンカレント・マーケティング」。製品開発分野 の「コンカレント・エンジニアリング」という概念を(注)、マーケ分 野に持ち込んだのです。

    注)コンカレント・エンジニアリングとは

    • 3次元形状や設計意図をコンピューターに入れて

    • 社内外の関係者全員で

    • 最新情報を常時共有することにより、

    • 設計と同時=コンカレントに下工程を行い
      • 製造方法を検討
      • 保守方法を検討
      • マーケティング方法を検討 など

    • 広義のQCD(⇒業績)を向上させる

    • 設計手法かつマネジメント手法である

 そしてこの本は、題名だけでなく内容も最高ですから、CRM専門家 の皆さまは、必読です。たとえば「マーケ⇔セールス⇔サービス」で共 有すべき情報コンテントが、かなり詳しく書いてある。

 それも机上で本人が考えたのではなく、膨大なフィールド調査に基づ いてますから、けっこう生々しい話も出てきます。(詳しくは次号)


[5] 原点なくして座標軸なし。座標軸なくして最新情報の評価は不可能

 昨年のボストンKMコンファレンスでも「KM、KMと言って、ヘン なものを売りに来る人が増えたよね」という話が、多くの講師からあり、 会場の笑いを誘っていました。

 今年、CRMで同じことが起きないか、大いに注意したいものですね。

 昔も、SISやBPRがブームになるたび、「にわか」専門家が現れ たものです。なんだか今年は、KMとCRMの領域で「にわか」専門家が 日本でも、ワンサカ現れそうな気がしますね。こわいことです。

 そんなときに役立つ「選別基準」が「原点」です。これ抜きに座標軸 はあり得ませんし、いわゆる「最新情報」を評価するのも不可能です。


[6] 次号予告: コンカレント・マーケティングとラリー・エリソン

 ということで次号では、CRMの「原点」と私が確信する、チェスピ ーデス先生の「コンカレント・マーケティング」の話から、キーの部分 をご紹介します。

 ただし「原点」の話「だけ」ですと、やや講壇的になってしまいます し、別の場所でさんざん私もやってきて少し飽きましたので、次号では、 その「原点」の話を「最新情報」と繋げてみましょう。

 実は私は先月、シカゴのCRMコンファレンスにいってきて、この手 のCRM最新情報を、しこたま仕入れてきました。とくに基調講演の米 オラクル社のラリー・エリソン会長の基調講演は、啓発的でしたね。

 あまりに講演内容が良かったものですから、その後、記者発表にも出 て、厚顔にもエリソンさんに、代表質問までしてきました。いわく

  「コンカレント・マーケティングと、貴社フロントオフィス・   スイートとの関係は、いかに」

 エリソンさんは、どんな講演をしたのでしょうか。また彼は、コンカ レント・マーケティングという「原点」を、正しく理解し、的確な答を、 出せたんでしょうか? そしてオラクル社のCRM戦略の柱とは???

。。。ということで本論は以上で終わり、以下、恒例の近況です。


[後記1] (03/23/99) 日経新聞主催のKMシンポジウムで講演します

 3/23 に東京で、日本経済新聞社主催の「KMシンポジウム」があり、 そこで私も講演します。

題しまして

    「ナレッジ・マネジメントへの3つのアプローチ:

    Product Leadership, Operational Excellence,  Customer Intimacy 」

このうち「Customer Intimacy」の部分では、先月のCRMコンファレ ンスの話も出てきますので、ご興味を持っていただければ幸いです。

 有料ですが、それを上回る価値は、絶対にあります。(とくにコンサ ルティング業界の皆さまには)


[後記2] (12/15/98,01/18/99) 最近は、座談会や対談もやってます

 私は、一昨年秋から、ナレッジ・マネジメントの講演を、年に数回、 やらせていただいてますが(来場者、主催者の皆さま、有り難うござい ます)、最近は、座談会や対談のご依頼も、出てきました。

    (1) 12/15/98, 日経テレコンセミナー

    http://telecom21.nikkeidb.or.jp/t21seminar/discuss1.html

    • テーマ「インターネット時代の情報活用法」

    • 次の方々とご一緒させていただきました。
      • 東京商工リサーチ取締役、山崎敏彦様
      • 野村総合研究所情報リソース室、上級専門職、山田奨様
      • 日立デジタル平凡社取締役、龍沢武様
      • 日経新聞社電子メディア局、企画担当部長、坪田知己様

    (2) 12/22/98, 末松千尋氏との対談

    http://www.ntre.ne.jp/keyman_feb.html

    • テーマ「ナレッジマネジメントとは」

    • 末松先生は「CALSの世界」「JAVA革命」などの著者で、 ご本業はコンサルタントですが、慶応大学経営大学院の 講師も兼任されています。

 (2)の後半では、本号のテーマ「CRM」についても論じました。


[後記3](03/09/99) その他のKM&CRMセミナー

 明日から、IBM社の「e-businessフォーラム」が開かれますが、

  http://www.ibm.co.jp/software/ebforum99/seminar.html

そこでは、次のセッションが、KM&CRM関連のようです。

 全セッションを見渡しますと、まだまだEC中心なのですが、これか らはKMやCRMのセッションも、増えていくことでしょう。ご興味の ある方は、次のページで、申し込んでみられては、いかがでしょうか。


[後記4] (03/23/99) 社外コラボレが楽しめる「知恵市場」のご紹介

 さて、ナレッジ・マネジメントを成功に導くには、いろんな経営施策 が必要ですがが、それらと並んで、社員各人が「自分の」スキルを「自 分で」磨くのは、必須の前提です。とくに「概念化スキル」「コミュニ ケーション・スキル」は不可欠ですね。

 これらのスキルを磨くための研修って、あるにはありますが、やはり 最良なのは「場数を踏むこと」、とくに昨今は、せっかくインターネッ トがあるわけですから「プロが司会する電子ブレストで発言すること」 だと思います。

 日本でそれをやっているのが「知恵市場」というメーリング・リスト です。ここでは、ニフティなどの「パソ通」と異なり、

    (1) 経営行動に直結したテーマを選んだ上でブレストに入るから、    雑談にはなりませんし(ときどき課題図書も出ます)

    (2) プロの司会者(MBAホールダーやマネジメントスクールの 講師など)が進行役を務めてくれるから、議論の拡散・集約の 速度が適正に保たれます。

 このうち(2)の「司会術」には、私も教えられるところが多いです。た とえば。。。

  • 始め方(発言したくなる問いかけなど)

  •  ・ときどき議論の前提を確認する

  • ときどきロードマップやフレームワークを出す

  • ときどきダイジェストを出す

  • ときどきトレードオフ(どちらを取るか)で本質を考えさせる

  • 発言数が多い時は純度アップを呼びかける

  • 発言が少ない時は自分がプレイヤーになる

  • 本題とは違う大きなテーマは別の機会に

  • 過去の議論を活用する(電子媒体だからこれが容易)

  • 複数発言から共通部分をくくりだし、それを展開する

  • わかりにくい発言を言い換えて補足してあげる

 これらの「司会能力」は「文章力」とならんで、今後、多くのマネー ジャーに、必須の能力となるでしょう。それを磨いてみたい人は、次の ページを、ぜひご覧になってください。

  http://chieichiba.net/

 (そういえば、概念化スキルやコミュニケーション・スキル向上のた め、米国のエグゼクティブ向け遠隔MBAクラスでは、グループウ エアが多用されているという話を、一昨年のロータスフィアで聞き ました。司会付きだと、授業料もすごく高くなるそうですが、その 価値にみなひかれるのでしょうね)

『ECスクエア通信』フッター

[最後に] ご一読ありがとうございました。本号はいかがでしたでしょうか?

当ニューズレターは、 国内きっての専門家が KM/CRM を、次の「カテゴリ体系」で 論ずるもの。関心に合いそうなトピックを、 適当にクリックしてみてください。

トピックス一覧(テーマ別目次):MyPRG_Called_EC2_Topics.html
(0) 入門
全体図, 定義 ( ナレッジ", KM, CRM), サマリー( KM, CRM )
効果実測例 ( KM, CRM), なぜ有効か( KM, CRM
(1) 戦略
今後にご期待ください。それまでは こちらを(11/07 改訂!)
(2) 知識プロセス & テクノロジー (3) ピープル & テクノロジー (4) 業務プロセス & テクノロジー
Marketing ( 3 事例で学ぶ 33 の法則, CFAR/CPFR),
Sales & Logistics ( PRM, JIT 設計販売, WebEDI)
Service
(5) プロジェクト (N) 番外編: 重要イベント

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    Shuichi Ohta, 太田秀一 ************************************* /

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