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皆さん、こんにちは。初めての方、はじめまして。
発行人の太田です。 週末を控え、いかがお過ごしでしょうか 今回のお知らせの要旨は、次の通りです。
IBMさんの「e-business」外部広報サイトに、 (【10/1補】上記当サイトは設営期限が2001年9月末までであったため、 現在、ご覧になれません。元の文章は私のパソコンの中にありますが、 そのうち弊サイトに再掲します。お楽しみに) このサイトは、IBMがインフォシークの一角に設立したもの。そこに色々な人が、 次のようなテーマで寄稿しており。。。
そこに今回、私が「ナレッジ・マネジメント」について書くことになった、 というわけです。 せっかくですので、次の2本立てにしました。
なお本日、『日経情報ストラテジー』最新号が発売されましたが、その3カ所
(p132 以下、p41 以下、p212以下)が、ナレッジ・マネジメント特集でした。
あわせてご一読になられては、いかがでしょうか。
[1] 情報化投資で「負け続けの10年」から立ち上がれ ある通産官僚によれば 「これまでの10年は、日本経済が、負け続けた10年だった。 その敗因のひとつは、 産業界の情報化投資の日米格差だったが、 今も、それは大きい。96年時点でも、まだ「日米格差=2倍」だ。 米では設備投資の「45%」超が情報化投資となってるが、この比率が 日本では半分なのである」
[2] Eコマースとナレッジ・マネジメント このうちEコマースについては、すでに多くの企業が「解の探索」を終え、 「実行」に入った。米IBM社の「e-business」サイトでも、ごく普遍的な解が示されている。
一方、本稿で論じる「ナレッジ・マネジメント」(以下、KM)では、
いま各所で「実行しながら解を探索しつつある」段階だ。米IBMのサイトでも、
ガースナー会長や、プルサーク氏が各々、所見を述べてはいるが、それが公式に
同社「e-business」サイトに反映されるには、もう少し時間が要るようだ。
[3] 米国で勃興するKM 事実、ここにきて欧米では、KMの勃興がめざましい。
また欧米では、KMについてのオンライン文献の数も、かなり膨大で、 これが日本の「100倍」もある。 つまり「情報化投資のトータル金額」だけ見れば「格差=2倍」だが、 ことKM分野に限れば、その格差は「100倍」だ。
この格差を、我が国産業界は埋めなくてはならない。以下、そう考える理由を示す。
[4] KMが必要となった「5つの理由」 KMが欧米で勃興した「5つの理由」は、我が国にも、通底する。 第一に、市場競争の激化。 80年代には、規制緩和と M&A が進み、これで 独自性=稀少性=競争力なき会社は「商品価値なし」とみなされ、 あっさり消えることになった。 第二に、企業モデルの転換。これで米国企業は「家族」から「チーム」 に変わり、試合に勝つためには、無能な社員を解雇するようになった。 第三に、BPR後に起きた頭脳流出。つまり企業から「他にないノウハウ=稀少性の源泉」 が漏出し、企業自体の稀少性が減ってしまった。 第四に、BPR後に起きた、ナレッジ作業のボトルネック化。どのプロセスにも、 ルーチン作業とナレッジ作業の両方があったのに、多くの場合、BPRは後者を先送りし、 そこがネックと化した。
そして以上4点より第五に、後述[6]のように成果が上がっていること。
これが決定的であろう。日本のKM論壇では昔から「成果主義」と無縁の東洋的神秘主義が
横行しているようであるが、欧米では、そんな呑気な議論に耳を傾ける人間には「敗者」の
烙印がおされてしまう。早晩、日本でも、同様となるだろう。
[5] KMの実践例(ブリティッシュ・ペトロリアム社) その多くの海外KM事例から( 詳しくはここをクリック)、ここでは、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)の事例を見てみよう。 同社は「火消し」のためKMを行っている。たとえば北海油田で事故が起きた、 としよう。こんなとき、「類似の事例」について過去、何か発言した社内外の 専門家のメール・アドレスを、ロータス・ノーツで一覧化し、彼らに緊急メールを送りつけ、 パソコンでTV会議を始める。 その相手は、世界各地にいる。しかし気にせず、即、緊急会議をやる。 これがBP流の「電子ウォールーム」だ。 いちいち「各人が飛行機に乗って集まって、フェース・ツー・フェースで暗黙知を共同化して」 といった従来のやり方に比べ、この「超並列組織」は、ずっと高速に問題解決できる。 その理由は、次の二つだ。
こうした「並行動作」が、今はグループウエアのおかげで複数人で行えるし、 インターネットのおかげで国境横断的・企業横断的にできるようになった。
さらに今後、これに音声認識ソフトが備われば、緊急会議の議事録がすべて電子文書で残り、
それを後日、別の人が検索して、新しいナレッジを学べるようになるだろう。
[6] KMの効果(を上げるには) この電子ウォールームは、技術的には、それほど最先端ではないが、経営的には、 意味が大きい。資本集約的な油田設備が止まるのを回避できれば、億単位のメリットがある。 本来、グループウエアとは、こういう「収益に直結する問題解決=ホットスポット」に使うべきである。 それを「交通費の精算」「接待費の申請」などに使うのは、もったいない。 これらは「問題解決」ではなく「問題でないものの処理」であり、所詮、 ナレッジ・ワーカーの仕事ではないし、収益を左右もしない。 今日の情報技術は、何らかの「問題解決」に使ったとき、その真価を発揮する。 重要なのは、情報化投資の「金額」より「中身」、つまり「焦点=ホットスポット」 なのだ。たとえば次の通り。
[7] KMの6大ホットスポット では上例以外で、KMの典型的ホットスポットは、どこか。 第一に、Competitive Intelligence (索敵活動) 競合各社につき、各方面から(主に定性)情報を収集し、それらを取捨選択かつグループ化して(ここが重要)、 最後に「凝縮された行動提言(これが Intelligence)」を導く。 売上増のため、訪問回数の向上は欠かせないが、こと不況期の法人営業では、 顧客キーマンと対話する「前」に、次のような準備が要る。
この種の頭脳労働に「一定の正解」はなく、下手に Sales Force Automation と 称して「商談プロセスを標準化」すると逆効果だ。 顧客の問題解決に役立てば、自社の収益も大きく伸びる。したがって>重要なのは、次の2つである。
つまり「ハガキが出てこない」と言う初心者にも、「紙詰まりが直らない」と言う熟練者にも、 同じ答を出せなくてはならない。 後述[10]のような「類似検索」ソフトにより、問題を正しく「グループ化」 できていれば、たいへん有効である(『日経情報ストラテジー』(98年9月号,p44)。 アンケートなどで入手した顧客の声を活かせば、収益も大きく伸びる。とくに重要なのが定性コメント。 今は、これが多くの会社で捨てられている。パソコンへの「入力」や、情報の「グループ化」が 面倒だからだ。 幸いに今日では、音声認識ソフトとデジタル録音機を連動させることで、「入力」は簡単になった。 また後述[10]のような「類似検索」ソフトにより、情報の「グループ化」も簡単になった。 これで「トラブル」という表現は、「障害、不具合、故障、事故」などと等価とされ、 同じグループに振り分けられる。 膨大な定量情報をマイニングすることで、有益な仮説を「発見」する。 たとえば過去の購買履歴から次回のキャンペーン対象を見つけたり、 有効な併売パターンを見極める。またクレジット・カードの使用履歴から 不正使用を予見したり、財務情報から倒産確率を求める。 これも収益を大きく左右する。「ボーイング777のCALSプロジェクト」も、 CALS 手法だけでなく、777自体が優れていたから成功した。
この業務のキーは、膨大な競合情報、膨大な顧客情報、膨大な技術情報を、
若干個の製品特性に「グループ化」することだ。それなしでは「
機能展開」も不発に終わる。
ここでも後述[10]のような「類似検索」ソフト」が役立つだろう。
[8] KMの4本柱 では、これらのホットスポットに通底するナレッジ・マネジメント「柱」とは 何だろうか。それは(1)People、(2)Process、(3)Technology、(4)Contentの4項に関わる。 (1)は、有能なナレッジ・ワーカーを吸着する制度・組織・文化だ。武田薬品は、 新薬開発者に最高「5千万円」のボーナスを出すことにしたし、そうしたボーナス制度を 正しく運用する(のは一般に難しい)ため、コンピテンシー・モデル手法を採用している。 (2)は、そのナレッジ・ワーカーらが、自他のナレッジを発掘・統合・再利用=応用・再蓄積 するプロセスであり、そのプロセスを高速化するため、(3)の情報技術が使われる。 (4)のコンテントの大半は、言語化された電子文書である。そもそもナレッジは、それを 他人に伝える段階はもとより、すでに各人の頭にある段階から、言語により形成されている のであり、「言語化されていないナレッジ」というのは、そもそも形容矛盾なのである。 また(4)は一般に、次のようになっていると、使いやすくなる。
そこで(3)のテクノロジー面では、次の諸点がキーとなるだろう。
要約すれば、ナレッジ・マネジメントとは、こう定義できる。 「ナレッジ・ワーカーら(1)が、先進的な情報技術(3)を活用しなら、 業績に直結するような既存・新規のナレッジ(4)を、(3)発掘・連結・再利用・ 再蓄積するプロセスを、大幅に速めること」
[9] KM実現技術 = 「グループウエア」+類似検索エンジン+α 第一に、グループウエアのディスカッション機能である。これはナレッジ「発掘」 や「学習=再利用」に効果的だ。 なぜ「発掘」に向くか。緊急時に衆人環視でディスカッションを行えば、 頭の中に詰まっている膨大なナレッジのうち、その問題に最適な若干個の ナレッジ要素が厳選されて出てくるからである。 また本人にもメリットがある。キーボードを通して、脳の深層から表層へ、 あるナレッジ要素を呼び出したついでに、他の関連ナレッジも、イモヅル式に想起できるからだ。 知識は、応用すればするほど、本人の頭の中に定着し、ready to fight な形で常駐する。 一方、グループウエア上のディスカッションは「学習」にも向いている。 そのQ&A過程が電子的に記録され、後から読み出せるからだ。
また、このQ&A過程は、一般的な原理原則を並べた教科書と違って、
具体的な問題解決のため、専門家どうし交わされた、ケース教材だからである。
これは実に分かりやすいし、課題も結果も、明確かつ再現可能だから、応用もきく。
[10] KM実現技術 = グループウエア+「類似検索エンジン」+α 第二に、「類似検索ソフト」である。これはナレッジの「発掘」や「問題構造の把握」に向く。 たとえばジャストシステム社の「ConceptBase」 では、「不況の原因」と入れれば、「不況の原因」を本文に含む文書だけでなく、 「消費」「投資」「公共投資」などの関連語句を含む文書も出てくる。類似した文書が、 類似した順にランキングされて出てくるのである。 これは大ざっぱに言うと、ConceptBaseが、
そこで検索条件に「不況、消費、投資、公共投資」をすべて投入してみると、 検索精度も上がり、ここでさらに、類似度ランキング上位に出てきた文書群に対し、 再び「関連語抽出」を行うと、「特別減税打ち切り」「在庫調整」「不良債権」 などの関連語が出てくる。
こうして不況という事象の「問題構造」が、ものの2分で把握できる。
これが「類似検索ソフト」の利点である。
[11] 個人の技能はチームワークに先行する こうした「問題構造の把握」なしに、[9]のオンライン・ディスカッションは、あり得ない。 チームワークやコラボレーションは、個人技の不足を、カバーしてくれないのである。
企業提携の場においても「弱者連合」が成功した例は少ない。強者どうしが各々、
長所を持ち寄った場合にのみ、相乗効果は生まれる。逆の場合には、
マイナスの相乗効果しか生まれない。
[12] ナレッジ・ワーカーの5大ミッション つまり「問題構造の把握は、ディスカッションに先立つ」。 ロバート・ライシュ氏も言うように、一般にナレッジ・ワーカーは、まず「構造構造の把握」 をした「後」に「ディスカッション」を行うものなのだ。 ディスカッションが不発な会社でも、まずもってナレッジ・ワーカーらが「問題構造の把握」 を励行することが先決だ。 世のCIO(情報システム戦略担当重役)の各位にも、この「問題構造の把握」を社員各人に促すような 社内環境の整備を、求めたい。
その施策の柱が、[8]の「KM4本柱」であり、そのうち「Technology」の
主軸となるのが、[9][10]の二つである。
[13] KM実践「8つのポイント」 ではKMを実行する上で、気をつけるべき点は何か。各社の現場でKMを実践し、 効果を上げているコンサルタントたちの共通見解を、記す。 第一に、「ニセKMに用心せよ」。 KMブームの勃興を当て込み、「KM でないものをKMと言って売りに来る」人々が増えてきた。 第二に、「東洋の神秘主義を疑え」。たとえば「思い」や「信念」など、 計測も再現も制御もできない概念でKMを語っても、計測や再現ができない以上、 これは科学的ではないし、制御もできない以上、実践的でもない。 事実、米国のコンサル現場では、こうした神秘主義的な言辞を吐けば、一笑に付され 瞬時に「全てが終了」である。(学会は少し違う)。 第三に、「KM一般論を警戒せよ」。 むしろ重要なのは、各論である。 特定の業種、特定のビジネス・プロセスに沿わずして「KM一般」を語ったり、 ましてや実行することはできない。 とくに危険なのは、社長直属の「知識創造部」などをつくってKM を「全社的に」行ってしまう ケースである。こうなればKMは、「KMのためのKM」「KM推進室のためのKM」と化し、 「TQCのためのTQC」の悪夢が日本企業を再び訪れることになろう。 そうなれれば「やった振り」が社内各所に横行し、結局これは長い年月をかけ、 企業を「消滅」させる原因となる。 むしろKMプロジェクトは、マーケティング担当重役や、エンジニアリング担当重役など、 プロセス・オーナーの直轄にすべきだ。 どんなKMをやるのか、それ以前に、「KMとEC」の「両輪」うち、どちらにどれだけ 重心をおくべきか。その最適解を決められるのは、現場を知り、かつ数値責任を負う彼ら なのだから。 そこで第四に「主軸と副軸」を間違えないこと。
第五に、「ナレッジ自体を崇拝するな」。 むしろ大事なのは、人々の行動や決断に ナレッジを「応用」して「結果」を出すことだ。したがってBPRのときと 同様に 「ほしい結果を起点にした方法論」が有効だ。 第六に、「工場的通念を切れ」。コンピュータを「機械」と呼ぶのをやめ、 「考え、討議するためのメディア」と考えよ。「業務分析」をやめ、「コンテント分析」から始めよ。 ブルー・ワーカー向けの「細分化・単純化・標準化」ではなく、「問題構造の把握」を ナレッジ・ワーカーに課題として与えよ。 第七に、「KMのキーは言語である」。 この世に「言語なき思考」など、あり得ない。 KM用のソフトを選ぶときも、「それはどのくらい言語密着型か」を、 よく見るべきだ。最低限、「シソーラスとタクソノミー」の実装は、 何らかの形で必須である。 第八に、「言語活用のキーは音声認識技術である」。企業現場には、 各所に「音声言語化されてるのに電子文書化されてない情報」が多い。
これらを「暗黙知」などといって神秘化するのではなく、きちんとナレッジ・ベース化すること。 それで大差がつくだろう。 上記[9][10]では「KM技術=Groupware+類似検索+α」と述べたが、 その「α」部分で、いま一番ホットなのは「音声認識」である( 資料1、 資料2)
本稿が少しでもヒントになり、多くの日本企業が「負け続けの10年」から立ち上がり、
再び「世界を相手に勝ち抜く」コースに乗るよう、願っている。
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