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皆さん、こんにちは。初めての方、はじめまして。
発行人の太田です。
本号では、ベンチャー企業、アークメディア社をとりあげ、「サイバ
なお同社は、96年春、建築家の林田研氏が ・建築・住まいに関する情報を ・建築家たちに提供するため、 ・社団法人・日本建築家協会から協賛を得て、 設立したもの。 設立時、同社はまったく無名でしたが、97年末ごろから、建築界で
[1] CSF(24) ユーザー実務への精通 林田さんは、建築一筋30年。だから、建築家の「業務と心理」が体
たとえば林田さんの建築事務所。早い話が「カタログ屋さん」状態で
しかも、この「カタログ山脈」が、建築家の頭脳労働の、障害でした。 家を設計するとき、決断すべきことは無数にあります。「浴槽」ひと
まずCAD画面から離れ、書棚まで歩いてTOTOやINAXのカタ
さらに「では、TOTOのこの機種にしよう」と決めたら、その部分
何やら面倒ですね。それに「面倒」なわりに「難しくない」。ここが
一般に「面倒なこと」と「難しいこと」は違います。たとえばアセン
頭脳労働者の仕事は、当然、後者であるべきです。面倒な作業ではな
[2] CSF(25) ボトルネック発見能力 そこで林田さんは考えました。 「これだけコンピュータが発達したのに、なぜか建築家の業務って、
そして「電子化ギャップ」というボトルネックに気がつきました。 「われわれがアウトプットする図面はCAD化=電子化されている
電子化ギャップ。ここが大きなボトルネック=商機だったんです。 幸い林田さんは、CAD採用も早く、10年も前からワークステーシ
[3] CSF(26) 平素からの公的活動 また林田さんは、日本建築家協会(JIA)の交流委員として、建材
「みなさんが電子媒体で建材情報をくれれば、われわれの仕事はこん
「ええ、先生方のおっしゃる通りです。それにわれわれも、カタログ
こうして3年前、じゃあ、JIA6千名の会員に、建材カタログを、
[4] CSF(27) ボランタリーでパブリック ではいったい「誰が」提供するのか。結論から先に言うと、林田さん
この間、「JIAそのものが提供する」という案もありましたが、し
「いや、この手の仕事には、事業家センスが要るから、民間企業の
また「建材メーカーが提供する」という案もありましたが、これも却
「売らんかなの広告では、意味がない。むしろ設計者や施主が知り
そこで「建築家の林田さんが建築家仲間のために建築情報を提供する」
つまり「ないものは自分で作る」。あるいは、そもそも公的活動は、
この「ボランタリーでパブリック」なエンジニア魂は、前号[11]で述
[5] CSF(28) 強力な職能横断チーム 「ヤフー」を作ったジェリー・ヤン氏らと同じこと。だから高能力・
第一に、アプリケーション・エンジニア。業務とコンピュータの両方
・山田雄一氏: 筑波の大学院で都市計画を専攻し、三井建設で建
・平田耕氏 : 千葉大学で建築を専行し、野村不動産で10年、
・長尾鉄次氏: 建築界の情報システムの「売る側と使う側」を、
第二に、システム・エンジニア。ウエッブサイトも大規模となると、
・川嶋健史氏: 山一情報サービス向けに、10年以上、情報系アプリ
第三に、プロのマーケッター(同社の機密なので、これは略)。 この強力な布陣を見て、おカネもたくさん集まりました(現在、資本
さらにその後、日本設備設計事務所協会や、通産傘下の建材産業情報
[6] CSF(29) 内外横断的な情報集積 では同社のサイトを見てみましょう( http://www.arcmedia.co.jp/ ) 第1に、280社分の建材カタログ情報(画面左上の1行目)。この
1) 建材メーカーからもらった情報をPDF化して、紙のカタログ
2) 建材メーカー自身のサイトで、ここから外部リンク経由、見れ
このうち1)が同社の「コア中のコア情報」。これを提供してくれたの
また2)で200社を網羅してますから、ここには、たいていの情報が
第2に、法令情報。「東京都杉並区に家を建てたい」というとき、東
第3に、これは今後の話ですが、地図情報。ゼンリンの住宅地図サイ
[7] CSF(30) 業務と隣接するマージナル情報 第4に、建築エッセイ。上記3点が業務直結型のコア情報なのに対し、
[8] CSF(10) 自己定位能力 ちなみにアクセス数は、いまは一日2千件ぽっちですが、半年もすれ
1) サイトに載せる情報を、増やしていくから 2) 同社の提供する電子情報が、顧客やパートナー各社の業務を、
3) いままで我慢してきた広報・宣伝を、これからは励行するから このうち1)は当然ですし、2)は[10][11]で後述するとして、ここでは
第一に「タイミング」。中身がないうちに宣伝するのは、愚の骨頂。
つまり第二に「ポジショニング」。同社の場合、「建築版ヤフー」を
注) たとえばキャンベルなら、自社の社名・製品を売り込んだり、
[9] CSF(6,19) サイバー&クロスIMC そして第三に「乗数効果」。それには「IMC」(注)が必要です。
・97年末、JIA会員の建築士6千人に、ファックスを流し、サ
・本年2月、同報型のメール・マガジンを創刊。これは創刊5日で、
・本年後半、NHKの「趣味の園芸」ブームに乗じ、某著名出版社
注) http://www.CIO-cyber.com/pj/ec2/BACK/N010.html#7
[10] CSF(31) 外部協力者の業務改造 しかも同社は、建材メーカーと建築家の間の「情報仲介」にとどまら
建材メーカー各社には、マーケティング手法を変えてもらえます。こ
・自社サイトに載せ、 ・アークメディアのサイトにも載せ、かつ ・CD(後述)でも配る。 建築家にも、設計手法を変えてもらえます。すでにハイテク業界で主
こうした設計手法を建築界に持ち込むには、次の3つが必要です。 1) 上記[7]の建材カタログ情報 2) 建材CAD情報 3) 建材コスト情報 2)について補足します。ここでのキーは、1)と2)の「一体化」です。
・CDには、CAD図面が入っている。しかし… ・それを取り出すには、ファイル名を指定する必要があるので、
これは不快ですよね。パソコンに向かいながらマニュアル本なんか見
そこで林田さんは、カタログ1)とCAD2)を、CDで一本化。これな
この間、目は画面にまっすぐ向けたまま。思考の中断がありません。
これは快感ですよね。建築家は設計するのが「好き」なんですから。
「これこそが、僕が望んでいたカタログの姿だ」。これなら仲間の建
[11] CSF(32) 顧客の「本能」を直撃 しかし、それでも林田さんには不充分。以上のメニューだけでは「省
そもそも建築家は、何を欲しているのでしょうか。マクドナルドの店
だから彼らは、出張のたび、よく写真を撮ります。古今東西の建築作
子供をいい音楽家にするには、厳しい先生につけてバリバリ練習させ
建築でも同じこと。いい建築をたくさん見ること。肉眼で見て、帰っ
ならば、その職業的本能に、アークメディアは応える必要があります。
だから林田さんはいま、JIA人脈を活かして、建築家どうし、建築
真のマーケッターは、顧客の本能的欲求という「ツボ」を、巧みに探
[12] CSF(33) 情報格差発見能力 しかし林田さんは、それでも満足しません。自分がもつ建築情報を、
「プロに役立つとすれば、一般にも役立つはずです。旅行の前にお
「さらに私の夢は広がります。エンカルタ97のように、ケルンの
では何故、わざわざ消費者の向けのサービスを始めるのか。理由は、
第一に「情報格差の縮小」。これは林田さんのドリームです。消費者
買い手に情報がなければ「情報格差」が売り手との間で生じ、市場経
イエス。いまは不幸にも、必要な情報が消費者に行ってませんから、 ・近所の(あるいは紹介された)工務店に相談する →・その工務店が扱っている建材・工法を買う というふうに選択肢が「工務店の都合」で狭くなっています。だから林
・アークメディアのサイトで、まず欲しい建材・工法を選ぶ →・それに対応できる工務店を探す 適切な情報を消費者に伝えて「情報の非対称性」を正し、市場の主役
[13] CSF(20) 起承転結のモデル化能力 第二に「食物連鎖の活用」。これが林田さんの戦略でした。消費者が
ナイスですね。要は、工務店を動かすには、工務店を動かす前に、消
というわけで当サイトのアクセス数は、いまは一日2千ぽっちですが、
では以上12個のCSFが導いた同社の成功を、整理してみましょう。 ・起: 自己累積的な情報集積サイクル開始
・承: それに法令情報、地図情報、CAD情報、建築写真情報な
・転: それらの情報を、消費者にも解放し、勉強してもらう。こ
・結: それらの情報を、全国50万社の工務店も見るようになり、
要は「情報がアクセスを呼び、アクセスが情報を呼ぶ」という「自己
[14] まとめ: 商売の成否はウデ次第。「33個のCSF」を参考に というわけで以上、3号連続で「ウエッブ・マーケティング」の成功
では、その「33個のCSF」表を掲示しておきましょう。要は「後
Eコマースご担当の皆さまは、ぜひこの「33個のCSF」表を片手
・自社では、このうち「何個」を実行するのか。この「数値目標」
(もし「10個なんてタイヘンだなぁ」と思われたら、サイ
・では、その10個なら10個は「どれとどれ」なのか。自分の
・それらの10項目の「実行順序」を決めてください。 ・あとは、それに「着手・完了の日付」「担当者名」を入れ、人員
。。。ということで本論は以上で終わり、以下、恒例の近況報告です。
[後記1] 日経・坪田さんいわく「新しい革袋に、新しい酒を」 最近、私はNTTファシリティーズさんの「創造性を高めるワークス
その委員会には、日経新聞の坪田知己氏がおられます。同氏は『日経
その坪田さんが『VOICE』98年2月号に寄稿しておられる「『電子新
いわく「新しい革袋に、新しい酒を」。 いままで紙メディアに書いてきた内容を、そのまま「電子化」して「
・ハイパーリンクを活かし、情報・知識をイモヅル化する ・双方向性を活かし、討論する場を作る ・情報をパーソナル化し、一斉同報をやめる、ひいては産業社会
方向の彼方に、「(いままでの)新聞とはかけはなれたサービス」を展
一般産業界でもBPRの鉄則は「いままでのプロセスをそのまま電子
しかも同氏は、その転換にあって新聞社として「残すべき強み」が「
面白いですね。「BPR」と「残すべき強み」。これが両輪なんですね。
[後記2] 前々号で登場した小仲さんが『日経情報ストラテジー』に 前々号で登場した、ワイン屋の小仲さんが、『日経情報ストラテジー』
この対談では、カバーしてなかったポイントも出てました。 ・言語表現力(文章のうまさ) ・自己表現欲(とその基底にある経験の質量) この2点、実に重要ですね。このうち前者は、私も辛うじて「CSF
また後者については、メーリングリストでご本人いわく[shop:2952] 「言いたくて言いたくて仕方がないのにメディアがなくて言えなか
この点も、チバレイさんは、うまく引き出していました。若いのに、
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・NECサイトに寄稿
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