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Nov.10, NEC サイトで論説発表         
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皆さん、こんにちは。初めての方、はじめまして。

 発行人の太田です。

  連休は、いかがお過ごしでしたでしょうか。今回は、各メディアの山
一報道をじっくり勉強された方も多かったのではないかと思います。か
くいう私も、そのひとりです。

 しかし、それらを読むうち、私は、実に不思議な気持ちになりました。
というのも「ダメな会社は不況になれば倒産しますよ」という話は、ハ
イテク業界なら至って自明であり、事業の前提そのものです。ダメな会
社が倒れたって、ハイテク業界では、誰も驚きません。

 もちろん金融機関の倒壊はシステミック・リスクを伴いますが、これ
も私に言わせれば、"So what?" です。これから銀行が10個や20個
つぶれようが、もともと日本には銀行が余ってますから、ちょうどいい
はずです。ダメな銀行から、口座を付け替えれば、誰も困りません。

 というわけで本号ではまず、この問題を、簡潔に要約してみましょう。
 


[1] 拓銀・山一倒壊: ダメな会社は不況になれば倒れて当然

話は実にシンプルで、要するに今回は、次の「内部要因」「外部要因」
があいまって「当然の結果」が起きただけです。

 ・内部要因=「ダメな会社」

  ・実力のない会社

  ・非連結対象の子会社などを使い、会計でウソをつく会社

  ・総会屋を雇い、株主による勤務評定から逃げる、ズルい会社

  ・実力不足のわりに危機感・向上心の薄い会社

  ・実力不足のわりにリストラやBPRが手ぬるい会社
   

 ・外部要因=「ダメな経済」

  ・明るい話: 円安により「輸出」は伸びましたし、
          生産技術や素材開発なども引き続き強いです

  ・暗い話 : しかし、それ以外は、かなり暗い

         ・まず上記の「輸出」は、アジア経済の混迷で目先不安

         ・頼りだった「公共投資(工事)」の効果は今後減少

         ・これ以上「金利」は、下げられません。

         ・おまけに「信用の収縮」は、不可避です

           ・銀行自体、 B/S がまだ病んでいます

           ・98/04 の早期是正措置→さらに資産圧縮

        ・以上より需要と資金供給の両面から縛りがかかり、成
         長のエンジンたる「設備投資」も縮みます。これで「
         失業率」も上がります。

        ・以上より「所得」は下がり、それが「消費」「設備投
         資」を下げ、「輸入」を減らして「為替」を高くし、
         それで「株価」も下がれば、「逆資産効果」が更に高
         じます。
 

 ・当然の結果=破滅(頼りの「神風」は、またも吹かなかった)

  ・拓銀と道銀の「弱者連合」は、当然ながら、無益でした。

  ・山一が夢見た「外資による救済」は、起きませんでした。

  ・心あたたまる「業界内での互助」も、起きませんでした。

  ・昔は効いた 「当局による救済」も、起きませんでした。

  ・したがって、「市場による淘汰」だけが、唯一の解でした。

 というわけで今後も、上記と同じ「内部要因」を持つ会社は、必ず倒
れるでしょう。原因が同じなら、結果も同じはずです。

 ちなみに上記のうち「外部要因」ですが。。。

  ・これは「定数=与件=不変」ですから自力で好転させることは
   できません。

  ・これに対する「政策」の作用は「たかだか中立」くらいに思って
   おけばいいでしょう。現に本日午後3時現在、

    ・必要量の7倍もの資金を日銀が買いオペで出したおかげで、
     さいわい金利は落ち着きました。これは立派です。
     http://www.nikkei.co.jp/business/market/index.html

    ・しかし、それでも日経平均株価は850円下がり、山一証
     だけでなく各銀行も売り込まれ、午前中は、取引すら成立
     しませんでした。

    ・山一の店頭には、解約を求める顧客が200人、300人
     と列を作りました。
     http://iij.asahi.com/flash/fnational.html#fnational_098
 

 ま、政策の力というのは本来この程度です。というか産業界の病気は、
本来、われわれ産業人が直すべきものです。手にメスを握り、患部へ切
り込むのは、われわれの仕事であり、政府の財政・金融政策は、たかだ
か、その手術を助ける麻酔みたいなものです。

 ここで「いや、私は執刀の経験がございませんので、ご当局のご指導
をいただきながら云々」「業界団体で話し合って云々」と後込みする人
は、麻酔医に手術をお願いしているようなものです。執刀医ではなく、
執刀の対象たる「患部」なのかもしれません。

 ちょっと話が自明すぎて拍子抜けしてしまいますが、私は、この自明
な話からも、何か学べる点が「ある」と思いました。


[2] 「ダメな会社」対策は「選別・BPR・KM」の3本柱だ

 今回、私が強く感じたのは、次の2点でした。

 (1)「ダメな会社」が倒れるときには、当然ながら、周りに迷惑がか
    かり(今回、山一が富士銀に迷惑をかけたように)、その迷惑
    の量は、彼らとの取引額に比例する

 (2)「ダメな会社」は良くならない。良い会社だけが良くできる。

 (2)について補足しますと、かつてプログラミング作法の大家、リッチ
ー&カーニハンらは、こう言いました。

  「ダメなプログラムは、良くしても良くしても良くならない。一度
   つぶしてしまって、最初から作り直した方が、はるかに早い」

 おそらく、会社にしても同じこと。「ダメな会社」は、リッチー&カ
ーニハン氏らが言うように、一度つぶした方が、いいと思います。彼ら
に必要なのは、リストラでもリエンジでもない。単なる「廃業」です。

 では、どうすれば、(1)のような迷惑を最小化しつつ、「ダメな会社」
の淘汰を助けることができるのでしょうか。。。。弊紙の守備範囲で申
しますと、私の答えは次の通りです。
 

 【1】関係先の選別と関係強化

 ・得意先や仕入先、融資先・運用先や調達先から、上記のような「ダ
  メな会社」を閉め出し、

 ・残った優良企業とだけ、関係を続け、かつこれを強化する

 ・そのため、彼らとのエクストラネット運用を強化する

    注) http://www.CIO-cyber.com/pj/ec2/yogo.html#EXTRA
      http://www.CIO-cyber.com/pj/ec2/BACK/n003.html
      http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/fri/cyber/extranet/extra2.html

 【2】自社内でのBPR

 ・しかし優良企業と連携するには、まずもって自社が優良企業でな
  いと、話になりません。それには、BPRが必要です。自社のビ
  ジネス・プロセスの性能(QCDなど)を、格段とあげておかな
  いと、誰も相手にしてくれないでしょう。

 【3】ナレッジ・マネジメント

 うち【3】は当レターでも新出なので、次項以下で説明します。おそ
らくこれは今後、我が国産業界でも、たいへん重要になることでしょう。


[3]  ナレッジ・マネジメントとは「企業の稀少性の源泉」である

 というわけで以下は、先月末、ロンドンで行われた、ビジネスプロセ
ス&ワークフロー・コンファレンスにおけるトマス・ダベンポートの基
調講演(注)からお届けしたいと思います。

  注) http://www.waria.com/Wednesday.html

 まずナレッジ・マネジメントとは何か。。。それは「ナレッジ・ワー
ク・プロセスを活性化させること」と定義できます。

 また、このナレッジ・ワーク・プロセスとは、こう定義できます。

  ・企業の「稀少性」を高めるようなナレッジを
    ・利益に直結するような情報
    ・模倣困難なノウハウ    など

  ・ナレッジ・ワーカーらが

  ・強力なテクノロジーの助けを借りながら

  ・発掘・再利用・分配するプロセス


[4]  ナレッジ・マネジメントは「BPRの理想」を完成させるものだ

 では、なぜ今、ナレッジ・マネジメントなのか。これは上記【1】【
2】の延長線上に、「恐い話」が出てきたからです。つまり。。。

 ・「優良企業と連携したければ、まずは自らを優良企業にせよ」とい
  うことで、多くの会社がBPRをした

 ・しかし元来、一本のビジネス・プロセスの中には、2種類の仕事が
  混在している

   ・多くのルーチン・ワーク
   ・多くのナレッジ・ワーク

 ・そしてBPRを「した」とはいいながら、やってたことは実にアン
  バランスで、

   ・ルーチン・ワークの合理化はゴリゴリやったが、
     (おかげでワークフロー・ソフトやERPソフトは世に広まり
      ましたが)

   ・ナレッジ・ワークの強化は、置き去りにされた

      (おそらく、あるべきプロセス・フローが描きにくかった
       からだし、また必要な情報技術が未熟だったかからだ、
       と思います)

 ・その結果、ナレッジ・ワークのところでプロセス・ボトルネックが
  生じ、これ以上、プロセス性能が上がらなくなった

 ・そうこうするうち、他の会社もワークフロー・ソフトやERPソフ
  トを使いはじめ、自社なみのプロセス性能をあげはじめた

 要は、「あれだけ苦労してBPRやって、効果も出たけど、追いつか
れました」ということです。なぜ追いつかれたか。ルーチン・ワーク部
分のリエンジニアリングなら、本来、誰でもできるからです(これすら
「できない」と言ってる会社は、拓銀・山一同様、市場から退場するこ
とになりますから、ノーカウントです)。

 しかし、それだけではない。本当に「恐い話」は、「ふと気づいたら、
会社の中からナレッジが消えてました」ということです。つまり、

 ・この間、BPRのおかげで、プロセスを少人数で動かせるようにな
  ったので(このこと自体は素晴らしいんですが)、会社は喜んで早
  期退職プログラムを発表した。そのプログラムには、誰でも自由に
  由に応募できることになっていた(これも素晴らしい)。

 ・そうしたら、どしどしナレッジ・ワーカーが会社を出ていった。彼
  らは、自分の作った文書は会社においていったが、もともと彼らの
  脳みその中にあるナレッジは、あまりに大量なために文書化してい
  たのは、そのうち2%くらいだった。そして彼らは、残り98%の
  ナレッジを脳みそに入れたまま、会社から出ていった

 ・こうして「利益に直結するような情報、模倣困難なノウハウ」が減
  り、会社そのものの「稀少性」が減ってしまった。

 このように企業の「稀少性」が下がれば、それは「なくてもいい会社」
になってしまう。これではマズイよね、ということになり、ナレッジ・
マネジメントが必要となりました。

 要するにナレッジ・マネジメントは、BPRの理想を今度こそ完成す
るために出てきた新手法であるわけです。
 
 


[5]  ナレッジ・マネジメント成功事例(概略)

 こうして先進企業はナレッジ・マネジメントを開始。すでに大きな
成果をあげています。上記ダベンポート氏によれば。。。

  ・研究開発プロセス
    ・ダウ・ケミカル社は、特許管理で50億円の利益捻出
    ・ロッシュ社では、新薬承認プロセスを6ヶ月短縮

  ・セールス・プロセス
    ・ジェネンテック社、メルク社では、顧客接点時間を倍増
    ・シークエント社では、新人セールスの売上を1割向上

  ・製造プロセス
    ・ブリティッシュ石油社では、事故一回あたりのダウンタイ
     ムを2日短縮

  ・顧客サポート・プロセス
    ・ランク・ゼロックス社では、修理員派遣時間を15%短縮
    ・HP社では、コール一回あたりのコストを半減
 

 というわけで本号では、拓銀・山一ショックに寄せ、ナレッジ・マネ
ジメントをとりあげ、次の5点のうち、(1)(2)(5)を論じてみました。

  (1) それの大ざっぱな「定義」
  (2) しれが必要となった「背景」
  (3) それが実現しようとしている「中身」
  (4) それが必要とする「技術」
  (5) それを行った「結果」

 そして次号では、残りの(というか、ここが肝心なのですが)、(3)(4)
について論じることにしますが、サブテキストとして、下記を使いますの
で、入手できる方は入手しておいてください。

  道本健二「ジャストの命運を握る新検索技術の実力を見る」
      『日経バイト』97年12月号(最新号)、p232以下

。。。ということで本論は以上で終わり、以下、恒例の近況報告です。
 


[後記1] グループウエアを補完するデボノ博士の「6色ハット法」

  私は「スマート・バレー・ジャパン」(略称SVJ)というボランテ
ィア団体に入っています。

 そして去る11月10日、この団体の小さな会合が、港区・田町の長
銀総研コンサルティング社の会議室を借りて行われました。

 テーマは「シリコンバレー・ツアー報告会」で、この本題でも盛りだ
くさんのご報告をいただきましたが、報告者の荘司陽子氏(ベル・イン
スティテュート社で創造性開発研修などをご担当)が、最後に余興(?)
として「デボノ博士の6色ハット発想法」を、紹介くださいました。

 これはブレーン・ストーミング手法のひとつで、ディスカッションを
している間、次のモードを意識的に切り替えながら話をさせる、という
ものです。

  ・事実ベースに意見するモード
  ・感情ベースに意見するモード
  ・肯定意見だけ出すモード(ただし根拠も付ける)
  ・否定意見だけ出すモード(ただし根拠も付ける)
  ・意見をどんどん拡散・展開するモード
  ・意見をどんどん集約するモード

 たとえば賛成側の人に「では今から反対側になってください」と言っ
て、やらせてみる。こうして自分が思っていないことも口にだして言っ
てみると、他の人の意見にも興味がわいたり聞いたりする姿勢ができて
くるんだそうです。

 私はこれ、オンラインでディスカッションしているときにもつかえる
なぁ、と思いました。「グループウエアを入れたけどディスカッション
が活性化しないなぁ」とお悩みの方は、試してみられてはどうでしょう
か。


[後記2] 11月号の『流通設計』ではウエッブEDIを紹介

 米国でいま大ブレイク中のウエッブEDI。これは実に仕組みが簡単
で、中小企業に、どんどん広がるでしょう。

 その仕組みは、たとえば消費者が通販サイトで「お買い物」をすると
きと、ほぼ同じです。

 消費者は、画面を見ながら「よし! これを買おう!」と思ったら、
あとは「数量」や「希望納期」を入れ、自分の「住所・氏名・電話番号」
を入れるだけで、品物を「発注」できますね。

 この間、消費者は、CIIだとかEDIFACTだとか、そんな難し
いEDI標準のことなんか、気にしてませんよね。これと同様に、販売
側が立てたウエッブサイトに、購買側がアクセスして注文を入れる。こ
れがウエッブEDIです。

 日本のEDI業界は、保守的な人たちが多く、インターネットに対し
昔から懐疑的でしたが、幸い今年に入り、NECや日立など、自らの
調達網にウエッブEDIを使う事例も出てきました。

 日本のEDIは、ふたたび電機業界がリードすることになるでしょう。
関係各位には、ぜひ頑張ってもらいたいものです。
 

『ECスクエア通信』フッター

[最後に] ご一読ありがとうございました。本号はいかがでしたでしょうか?

当ニューズレターは、 国内きっての専門家が KM/CRM を、次の「カテゴリ体系」で 論ずるもの。関心に合いそうなトピックを、 適当にクリックしてみてください。

トピックス一覧(テーマ別目次):MyPRG_Called_EC2_Topics.html
(0) 入門
全体図, 定義 ( ナレッジ", KM, CRM), サマリー( KM, CRM )
効果実測例 ( KM, CRM), なぜ有効か( KM, CRM
(1) 戦略
今後にご期待ください。それまでは こちらを(11/07 改訂!)
(2) 知識プロセス & テクノロジー (3) ピープル & テクノロジー (4) 業務プロセス & テクノロジー
Marketing ( 3 事例で学ぶ 33 の法則, CFAR/CPFR),
Sales & Logistics ( PRM, JIT 設計販売, WebEDI)
Service
(5) プロジェクト (N) 番外編: 重要イベント

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