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◆ 2002年10月14日: リースマンと学習スタイル

皆さん、こんにちは。太田です。

自ら「今月のご挨拶」と名付けておきながら、 またまた本欄、半年もサボってしまいました。(^0^)。 やはり私は「周期動作」は苦手です。

そこで当欄は今般スパッと、「折々のメモ」と改名し、 私が日常雑感を、不定期&非公式にお話しするコーナーに変えました。 こっちも気軽にやりますので、皆さまもお気軽にお付き合いくださいね。

ということで早速ですが、 日経新聞「ネット時評」で私は10月11日、 米国宝石商協会の eLearning 事例につき論評しましたので、 今回は、その背景を、ここで補足することにします。

上記拙稿で私は、当事例の成功要因のひとつが「1時間弱のプチ番組だった」と述べました。 一見するとこれは「あったりまえ」です。テレビ番組だってそのくらいだし。

しかし デビッド・リースマン『孤独の群衆』を併読すると、その「あったりまえ」が 本当にあったりまえになったのは、高々、ここ100年ほどの話であることが分かります。

そして慧眼にも彼は、52年も前に「現代人に向いた学習スタイル」を考察していた。 偉い人ですね。どう考察していたんでしょうか? 

内部指向人間の学習スタイル、他人指向人間の学習スタイル

『同書』2〜7章によれば、 およそ100年前、人々の学習スタイルは一変しました。

  • 19世紀の古典的教養人は(リースマン用語で言う「内部指向型」の人間)、 「かの群小を凌駕」するに足る「大きな真理」を探るため、 あるいは「大きな権力」「大きな富」を得るために、 あるいは死後に「大きな名声」を残すため、 大きな図書館にこもって、 大著を相手に、1人で長時間、刻苦勉励することを好んだ。

  • だが20世紀の現代人たちは(リースマン用語で言う「他人指向型」の人間)、 「中流の感性に同調」しつつ「小さな違い」を感じたり示せたりすれば幸せなので、 孤独な勉強などは早々に切り上げ、友人たちと楽しく談話するのを好む。 ひいてはこの時代、頭がいいとか勉強ができるとかは「目立ちすぎ」て「人づきあいの邪魔」、 つまり「社会的不適応の証拠」とみなされるに至った (『同書』p52)。

前者は「一千頁の大著」さもなくば「お抱え読書係」という学習メディアを好み、 後者は「1時間弱のプチ教養番組」という学習メディアを好むでしょう。 そして後者の今日的一例が、冒頭でご紹介した、 米国宝石商協会の eLearning 事例です。

もちろん、どっちが立派ということはない。各々に長短両面があるからには、 各々に生存権があります。各人、好きな方を選べばいいですね。

リースマンが戦後、日本に来たとき、日本の知識層の多くは「日本人は他人指向だからイカンのですよ」 言ったそうですが、リースマン自身は、他人指向の人たちには(悪い面もあるけれど)良い面もある と穏やかに返したそうです。

ありがとう、リースマン

そのリースマン氏も、 今年の5月に亡くなりました。今ごろ天国では、 フロムやミルズのような同時代人たちと旧交を温め、 多くの日本人たちからも表敬訪問されているのではないかと、私は想像します。

実を申せば学生時代の私は稚拙にも彼の 『孤独な群衆』を「たかだか類型論であるに過ぎず、 類型間シフトの動因究明に乏しい」「なんだこの習俗エッセイみたいな記述は。文学かこれは」と切り捨て、 ぱっぱと売り飛ばしてしまいました。我ながらお恥ずかしいことです。

しかし『同書』は、この歳になって再読したら、とても良い本でした。 その調査の massive なこと。おかげで19世紀人、20世紀人の生態が目に見えるようです。

それに『同書』は、他人指向型の人と内部指向型の人が互いに相手を理解するのにも向いてます。 一般に、前者は後者に「親切さもなくば日和見」に映り、 後者は前者に「謹厳さもなくば尊大」に映るんでしょうね。

そして『同書』の射程は長い。eLearning 分野でも上記の通り。 現に彼の示した「他人指向」型は、 ハーマン・モデルで言う「タイプC」に該当するでしょう。

その射程の長さには、心から畏敬の念を感じますね。彼の『同書』は、 たぶん彼の死後も100年は読み継がれることでしょう。皆さんも『同書』を 手に取られたときは、扉の彼の写真をご覧になってください。



◆ 2002年4月: 麻布十番から御茶ノ水に、引っ越しました!(2001年12月)
皆さん、こんにちは。太田です。

約半年のご無沙汰でしたが、この間、皆さま、いかがお過ごしでしたでしょうか?

申し遅れましたが、私は・・・

昨年12月、 麻布十番から 御茶ノ水に引っ越しました

当然ながら、その前後は、物件の選定、家具やオーディオ機器の採寸・選定・発注・設置、 それに伴うケーブル類の選定・敷設などなど、住環境に凝りまくり(私は凝り性なものですから)、 その後は、引越記念&誕生パーティ(×10回超)に、凝りまくっておりました。

これで当サイトの更新も、『ECスクエア通信』の 配信も、すっかり怠けてしまって。(^-^)

しかし、この移転で、3つのメリットも生まれました。

  1. 都心に近くなりましたので「気軽にご来訪」いただけます。

    • たとえば大手町の皆さまは、平日昼でもタクシーで10分 くらいですから、お昼休みに「行って帰ってこれる距離」。

  2. 場所も広くなり、プロジェクターと大型スクリーンも入れましたので、 「気軽にプレゼン」いただけます

  3. KM&CRM関連のライブラリーも、すでに膨大ですが、 それを今後、いっそう充実かつ整備していきます。

私と名刺交換済の皆さまは「ちょっと飯どきだし、太田んとこでも行ってみっか」 と思い立たれたときなど、お気軽にご連絡ください。

また、KM/CRM コンサルの皆さまや、同ベンダーの皆さまは、わが ライブラリーに、ぜひ資料の類を、ご提供ください。

当方で分類・整理し、ご来訪者の皆さまに、ご覧いただけるようにします。

願わくば、この小宅が「日本のKM&CRM」の「拠点」ないし「サロン」の 一つとなりますように。

今回の移転の背景: 「機械受注」の数字に驚きました

今回の移転を私が決意したのは、昨年11月8日、「機械受注」の数字を 見たときでした。

ご高承のように「機械受注」は、昔から景気の「先行指標」であり、 この数字が「マイナス2桁」ということは、要するに、

    「日本経済は、今後もやばい」

ということであり、そこで私も瞬時に、こう直観したわけです。

    「ああ、僕も、麻布十番みたいな保養地にヌクヌクと引っ込んでるんじゃなくて、 そろそろ、もっと都心近くに撃って出て、産業界からの要請(があれば)に 応えなくちゃダメかなー」

さらに12月の移転後は、来るべき長期戦に備え「基礎力の再強化」に務めました。

  • 近所のスポーツジムに通い、体力をつけ、

  • 食生活を改め(外食100% → 生協の産地直送・有機野菜を料理)

  • 皆さまと私の健康のため、専門家の選んだ、ワインとチーズを常備

近況: 小さめの仕事を少々【プレゼント有】。本業も再開します

かくして過去半年、私は、この「移転」と「基礎力の再強化」と「ホーム・パーティ」に 没頭しておりまして、時間のとられそうな仕事は、勝手に停止しておりましたが・・・

    (該当される皆さま、まことに申し訳ありませんでした)

短時間でできる執筆や講演は、少し行いました。

4月以降は、常態復帰する予定です。お楽しみに!

  • ちゃんと本業の「コンサル」を、以前以上の勢いで再開し、

  • 講演関係でも、今年は、ストリーミングTV出演や、大学への出講など、 新らしい試みにチャレンジする

わが街「御茶ノ水」で、長期的に頑張ります

ところで「御茶ノ水」は「堅牢な歴史」が感じられる街です。

  • 小宅の目の前は「れんが造りの洋館が建ち並ぶマロニエ通り」であり、

      (25年前に「学生街の喫茶店」で「窓の外、街路樹が美しい」 と謳われたのはダテじゃありません。日曜にはときどき画家の人が絵を描きにきてくれます。 私のことではなく、街路を描きに来られるわけですが)

  • 小宅のスグ近所には、辰野隆らが学んだアテネ・フランセがあり、

  • ご町内の「猿楽町」には、小林秀雄の生家があり、

  • 隣町の「神保町」「三崎町」には、

    • アマゾンで買えない絶版本を売ってる古本屋さんはもとより、

    • 夏目漱石が学んだ小学校があり、

    • 高村光太郎が開いた画廊があり、

    • 井上ひさしらが愛した万年筆屋があり、

    • いまも文人らが愛する山の上ホテルがあり、

    • パリ食堂やエスカルゴや東京倶楽部のような小粋な店、 いも屋や龍龍軒のような庶民的な店があります。

これらの作品を歴史に刻んだ人たちの一部は、すでにこの世にありません。 逆に言えば彼らは、自分よりも長命な作品を、この世に残した、ということです。

そんな作品が立ち並ぶ、 このお気に入りのホームタウンに、私は今後、少なくとも10年間、 できれば50年間はしっかと根を張り、このささやかな小宅を、 「日本の KM/CRM の拠点」として、ゆっくりと育てるつもりです。

さらに、これで私が多少なりと公的貢献を行い、その結果、この街の系譜に 連なることができれば、望外の幸せですが、50年くらいかければ、何とか なるかもしれません。

3/26に「42歳」に。ドラッカー目指して「100歳」まで頑張ります

さらに3月26日は、私の誕生日。これで「42歳」になりました。

今回の引越で心機一転、ドラッカーさんのように「100歳」まで頑張るぞー、 と長期的な決意を、固めたところです。(笑)

皆さま、今後も長く、そして堅牢なお付き合いを、よろしくお願いします。



◆ 2001年9月:今こそ「真の打算」を米国のリーダーに求む
皆さん、こんにちは。太田です。

今月は、米国で数千人の人々が殺害される大規模テロが起こされ、9月17日現在、 それに対する米国の「広範かつ長期の報復行動」が始まろうとしています。

そこで今月は特別に、この「報復行動」につき私の所見を述べます。

最初に私の立場を明らかにしておくと、私は親米派です。個人的に(職業柄また経歴上)、 米国に日頃、大きな恩義を感じる1人です。

ですから、

  • 今回のテロで、広い意味での我々の友人が、たくさん殺されてしまったことに、 私も呆然としています。また多くの米国国民の感じている悲しみを、少しでも自分が 感じ取りたいと思っています。

  • 同時に私は、親米派の1人として、米国に「真の問題」解決につながる「真の打算」を求めたい

以下、後者の論点を敷衍します。

なぜ今回のテロが起きたのか。中東に戦火や復讐心があったことが根本問題ですね。

米国が今週にも取るかもしれない「報復」路線が、その戦火や復讐心を永久に

  • 消せる確率、消せない確率

  • むしろ拡大してしまう確率、そうならない確率

この4つの「数値」が「いくつ」になるかを、まだ我々は、定量的に知りませんし、 米政府や日米のマスコミも、明らかにしていません。

私が最も懸念するのは、次の3点です。

  • 大きな権力を持った人間が、有能なCEOではなく、愚かで勇敢なカウボーイのように、 ものを考え、ものを動かしてしまうのではないか、

  • 一部のテレビ局が、10年前のように、彼を「応援」し、Dramatize して しまうのではないか、

  • ふだんからドラマ番組ばかり見ているテレビ好きの日米国民たちが、 またも10年前のように、その Dramatization 手法に、 騙されてしまうのではないか

むしろ今こそ「真の打算」が必要だ、というのが私の所見です。

以下、もう少し詳しく論じます。

Key Question-1: 根本原因は何か?

ロンドン大学キングス・カレッジの Lawrence Freedman 先生が 英 Financial Times の "Personal View" 欄に寄稿したエッセイ "Israel's false impressions" によれば、

  • ここ1年のイスラエル国の外交方針の基底には、次のような考えがある

      「1年前、キャンプデービッドで、前イスラエル首相バラク氏が 寛大な譲歩を示したことが、パレスチナの今日の暴力路線を招いた」

  • ここ1年のパレスチナの外交方針の基底にも、次のような考えがある

      「この譲歩こそ、長年の我々の武力抵抗の賜であった」(★)

  • また、★のような考えをパレスチナが持っているはずだとイスラエルが 信じており、その信念もここ1年の【イスラエルの】決断指針になっている。
要は、長年周知の、武力対決重視の「世界観」が双方にあります。

さらに同先生によれば、パレスチナ側には「失望」もある。

  • 上記の「寛大な譲歩」が、単なる見せかけであり(企業で言えば「やったフリ のTQC」みたいなものですね)、具体性・実効性が非常に小さく、パレスチナの「失望」を 招いたこと

Key Question-2: その「報復路線」は、その根本原因を解決するのか?

そこで我々が問わねばならないのは、「根本問題が解決される確率」です。

つまり米国の報復路線が、以上の「戦火」「復讐心」「世界観」「失望」を 永久に、

  • 消去ないし修正できる確率

  • 消去も修正もできない確率
が、非常に重要です。この成功確率が低ければ、報復路線は、やっちゃいけませんよね。 そんなのは小学生でも、かつ実行前から、分かりきったことです。

ということで今こそ「その報復で本件の根本問題が解決される確率はいくつですか?」 「いくつですか?」「いくつですか?」と、何度も何度も何度も何度も、答えが出るまで、 彼らに問わねばなりません。彼らに「有能なCEO」のような決断をさせるために、です。

要は「確率を問う」という初歩的な習慣を発揮すべきなのです。

Key Question-3: ならば対案は何か? 短期策+長期策

私が米国の指導者なら「緊急避難措置」として、目先の復讐のために目先のアフガンを 攻めるのではなく、パレスチナとイスラエルの間に「大きな物理的なカベ」を作りに行きます。 アフガンは「根本問題の所在地」ではなく、その「結果の所在地」たるに過ぎません。 根本問題の所在地は「聖地」なんですから、ここに兵力を集中投下すべきです。

そのための軍事行動なら、大いに賛成です。これで「カベ」ができれば、目先の紛争も防げて、 交渉のための時間も稼げるかもしれません。

上記 Freedman 先生は、こうした「壁作り」路線を「不毛」と評しておられますが、それは たぶん長期的な観点からのご意見でしょう。短期的には有効なはずです。

というのも同先生のエッセイによれば、つい先月、イスラエルとパレスチナの間では、 公的な合意声明を出すくらい、交渉が「最終合意」段階に肉薄していたのです。

だから緊急避難措置として「カベ」を作り、目先の紛争を防いで時間を作りだせば、その時間で、 先月まで行っていた交渉を再開・完結できるかもしれません。すでに「最終合意」段階まで肉薄 していたんですから、その成功確率は、高いはずです。

世のマスコミ諸君にも、軍事行動「一般」の「善悪」を論じるのではなく、 その「目的と効果」を「短期と長期」に分けて論じてもらいたいと思います。

私の回答は、上記の通り、短期的には「カベ作り」、長期的には「交渉」です。

    (なお某新聞社主催の某MLで、さっそく本稿へのご指摘を頂戴しましたが、 「カベ作り」とはいっても、当然、それを「どこ」に作るのかという「線引き」が重要です。 ご指摘をくださいました(とくに身分を秘しますが)某氏のご投稿を参考にしますと、 その線引きの基準は、「94年合意」の時点に戻すのが、 最善とまではいかずともわりあい現実的だろう、少なくとも現状よりはマシだろう、 というのが私の所感です)

Key Question-4: ラーデンを、どうすべきか?

一方、ラーデンという男は、上記の交渉がよりによって最終合意「直前」という大事なときに、 本当にバカなことをやってくれました。よって彼は、厳しく処罰されねばなりません。

もともと指導者には「バカなことをする自由」はありません。 権力を誤用する権力者など、メスを誤用する外科医と同様、最低の存在です。

ラーデンは、正規の政治家ではありませんが、多くのフォロワーを抱えた人間ですから、 広義の権力者です。ならば彼には本来、バカなことをする権利はないし、 権力を上手に使いこなす義務があります。

したがって彼は今回、厳しく裁かれねばなりません。判決は、 懲役1億年とか死刑1万回くらいが適正でしょう。

結び: 真の政治家なら「真の打算」を追求すべき

ひるがえって他の指導者たちにも、彼と同様の間違いを犯さぬよう、求めたいと思います。

Financial Times の所見では、

  • 米国の tough military action は、湾岸諸国からの支持を得られないであろう。 なぜなら後者の国内世論がそれを許さないから。

  • 米国の sustained war against terrorism は、米国内の支持も得られないだろう。 なぜなら長期に生活や経済が苦しくなるから。

私も親米派の1人ですが、日本が「真の友人」ならば「真の打算」を米国の指導者に 求めるべきだと思います。ラーデンに最も欠けていたのが、これなんですから。



◆2001年8月: 楽観論や精神論を排し、体系的で論理的・実証的な具体論を
皆さん、こんにちは。太田です。

「CRM実践元年」と呼ばれた2001年も、はや8月。皆さんの CRMプロジェクトは、快調でしょうか?

ご多分に漏れず当分野にも「悪い話」と「良い話」が両方あります。

ならば必要なのは、何でしょうか?

面白そうな楽観論や、有り難そうな精神論に、もはや未来などありません。そんなのは 確かに「心が安まる」だけで、昔も今も「敗戦への一本道」でした。 不況の時期は、なおさらそうです。力の限り撃退しましょう。

ということで必要なのは、トコトン地に足のついた、体系的で論理的で実証的な 具体論。ぜひ次の文書を、お使いください。

一方、「当社は、まだその段階ではない」とお感じの皆さまは、 次の文書やセミナーを活用され、各人、どうすれば会社が良く なるのか、まずは自分で答えを考え、かつ周囲の方々と、 話し合ってみましょう。

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Shuichi Ohta, 太田秀一 ************************************* /

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